【第4回】第一章 アベノミクス「第三の矢」は所得格差を拡大する(後編) ~労働者「逆転政策」、 「非正規雇用の正規雇用化」を実現せよ!~ 【第3回】はこちらをご覧ください。 人件費の変動費化は企業の競争力を削ぐ かつての日本企業にとって、人件費とは固定費であった。中曽根康弘内閣が派遣労働を解禁するまで、我が国の雇用の中心は正規雇用だったわけである。 企業は売上の変動にかかわらず、固定費として社員に人件費を払う。社員は終身雇用制度の下で安定的な身分を確保し、企業に対する帰属意識、ロイヤリティ(忠誠心)を高めていく。いつしか、社員の心中で、 「会社のために」 という気持ちが強まり、自らの中に技術、スキル、ノウハウ等を蓄積していく。すなわち、企業のコアコンピタンス(中核的能力)である「人材」へと育っていったのである。 そして、人材の集合体こそが「企業」なのだ。日本企業の強みは、安定した雇用環境の