訴訟要件の判断や既判力の主観的範囲を決定するために、誰が当事者の地位についているかを明らかにする必要が生じる(当事者の確定)[4]。諸説あるが、訴状に記載された者を基本的に当事者とすべきとする説(表示説)が通説的な見解であり、基本的には同説に従って処理すれば問題は生じない[5]。 例外は以下のような場面が考えられる。 氏名冒用訴訟 訴状に記載された当事者の名前や住所が架空人のものであったり、他人を騙ったものであったりすることがありうる(氏名冒用訴訟)。被告の氏名が冒用された場合には、判決の騙取(訴訟詐欺)の問題が生じる[6]。 判決の騙取は滅多に発生するものではないが、実例がないわけではない[7]。 被冒用者は、訴訟に関与していなかった以上当事者として解されるべきではなく、冒用者が当事者と確定することになる[6]。 判決を騙取された被告(被害者)は、騙取判決を債務名義として強制執行をかけら