経済不況が長引くなか、IT産業に吹く向かい風は、いまだ弱まる気配を見せない。そうした中で、大手ITベンダーのトップが交代したり、クラウドコンピューティングに照準を合わせた新戦略を打ち出したりしている。各社が共通に口にするのが、中核事業の強化とグローバル化だ。 しかし、複数のトップ就任会見や事業戦略の報道などを見る限り、新たな一歩を踏み出すための“脱皮”すら難しいように映る。以下、筆者がそう思う理由を三つ挙げる。みなさんは、どう考えるだろうか。 理由1:大手は“ものづくり”の意識が強い 日本の大手ITベンダーの多くは、コンピュータ・通信はもとより、携帯電話を含む各種端末や半導体、さらに家電なども手がける総合ベンダーだ。証券市場における業種も「電機」に分類される。 なので、大手ベンダーの立脚点が“ものづくり”にあることは否定しない。むしろ、これからの時代は、世界に通用するヒット商品を生み出せる