将来の事業の柱に育てたいクラウドコンピューティング分野の案件だ。受注金額も億単位と魅力的である。ただし顧客は、初期投資を最小限に抑えたいという。 既存のパッケージをSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)プラットフォームで動かせるようにするための開発・移行作業や、アプリケーション保守、SaaSプラットフォームとネットワークの運用管理─。 「受注できれば、複数年で億単位の契約になるかもしれない。今後のクラウドビジネスにも弾みがつく。なんとしてでも勝ち取ってみせる」。新日鉄ソリューションズ(NSSOL)のITインフラソリューション事業本部営業本部営業第一部主任(当時)の山本拓は、こう決意した。2008年7月のことだ。 山本が挑んだのは、住宅用ガス機器などの製造・販売を手掛ける高木産業の案件。ただし、社内業務システムの開発や運用・保守ではない。 高木産業が外販していた業務パッケージを、Saa