仕事場の近くの住宅街に、玄関脇に警察官の警備ボックスが設置された家があります。路上に黒のスーツ姿の若者が5、6人立っていて、黒塗りの車が家の前に停まると、一斉に走り寄って下りてきた人物を取り囲みます。自民党重鎮の東京の自宅で、憲法改正問題で強い影響力をもっているため、メディア業界で「夜討ち」と呼ばれる取材対象になっているようです。 夜の散歩の途中にこうした場面に何度か遭遇したことがありますが、政治家は記者たちに軽く手を振るとさっさと家に入ってしまいます。すると記者は、それ以上なにをするでもなく、スマホを取り出してなにごとか話しながら駅へと向かいます。「話すことはないよ」といわれ、それを社に報告しているのでしょう。 こんな「取材」になんの意味があるのかさっぱりわかりませんが、なにごとも横並びで、他社に「抜かれる」ことを最大の汚点とする日本のメディアは、この奇妙な風習を一向にやめようとはしませ