もしかしたらまだ、小難しいスノッブな作品や、安全無害の退屈な舞台、大げさで古臭い演劇を上演するのが公立の劇場だと考えている人がいるかもしれない。でも現実は遥かに進んでいる。この流れをよく表しているのが、KAAT神奈川芸術劇場(以下KAAT)とNPO法人ドリフターズ・インターナショナルがスタートさせる『KAFE9(カフェナイン)』というプロジェクトだ。日本のみならず海外も注目する若手カンパニーやアーティストの作品を、劇場内だけでなく横浜の街中で約1ヶ月間に渡って上演する。KAATをカフェのように自然に人が集い、時代の空気が感じられる場所へ。つまり劇場が、観る/見られるだけの場所を超えて、さまざまな人、表現、思考が行き来し、それらが劇場の外へも流れていく風通しのいい場所になる。 この企画にゴーサインを出したのが、今回座談会に登場するKAAT芸術監督・宮本亜門。そして『KAFE9』に参加する若手