1.筆者は『ねもは』という建築同人誌を編集していますが、取り立てて何か述べるほど、変わったことをしているわけではありません。『ねもは』は、建築に関わる若い人間が紙媒体でいま書くべきことを書くという、それだけの同人誌であり、「現在におけるメディアのあり方」というような場所からは遠く離れたきわめて旧来的な形式に則って制作されています。 2.むしろ、『ねもは』のような、理論的ニュアンスの若干強い「書き言葉」によるコンテンツで埋め尽くされた同人誌は(少なくとも建築に関するメディアとしては)最も「現在的」ではないメディアではなかろうかと、筆者自身は考えます。時間的にも空間的にも流動性の高いことを現在的状況だとすれば、そうした状況を捉えるメディアとは、紙よりは情報や現場で、書き言葉よりは喋り言葉や音声で、理論よりは報告をひとまずは求めるはずだからです。 3.実際、そうして作られるメディアのほうが、
門松は 冥土の旅の一里塚 めでたくもあり めでたくもなし あけましておめでとうございます。 おっせーけど、一休さんこと一休宗純の詩を以って新年のご挨拶。 しかしまぁ言いたいことはわかりますが。 ちょっとひねくれ過ぎじゃないですか、一休さん。 紙本淡彩一休和尚像 (伝:墨斎筆) 一休宗純という化け物を知っているか。 いわゆる「とんちの一休さん」のイメージの延長線上にある、 彼のナイーブで巨大なねじれを知っているだろうか。 とんちとは天邪鬼の目である。 その目を持つ彼の遺した、どこまでも人を喰った悪魔の言葉を知ったとき、 油断するとすぐに単純化しようとする世界は再びねじれて複雑になり、 悲しくも美しい不全な視界をいつでも取り返してくれる。 僕は600年前からあらゆる人間にその悪魔の目を分け与えてくれる 一休宗純を愛してやまない。 一休号(伝:華叟宗曇筆 酬恩庵蔵)
今回は東北大学大学院、五十嵐太郎研究室の市川紘司氏による『アルゴリズミック・アーキテクチュア』の書評をお届けしたい。アルゴリズムがある種のリズム=躍動する思考であることを、本書評を読まれた方は即座に理解するに違いない。また、前回の更新以降、市川さんには長らくお付き合いいただいてしまった。お礼申し上げたい。 //////////////////////// 書評: 『アルゴリズミック・アーキテクチュア』 コスタス・テルジディス:著 田中浩也:監訳 荒岡紀子+重村珠穂+松川昌平:訳 彰国社、2010 評者: 市川紘司(東北大学大学院) //////////////////////// ■アルゴリズムへの素朴な導入書として 本書はあくまでも建築におけるアルゴリズム系議論への導入基礎テキストとして読まれるべき書物だろう。原著が出されたのはほんの四年前(2006)だが、こうし
以前日本で勤務していた頃によく耳にしたのは「なぜ3Dなのか」という質問でした。それに対して私は、BIM(その頃は「バーチャルビルディング」と呼んでいた)の利点を説明していました。今ではそのような質問はほとんど耳にしませんが、その代わりに「BIMの正しい使い方は?」と質問されます。しかし「正しい」使い方など本当にあるのでしょうか。 「BIMドリーム」と言われますが、それは整合性の取れた設計図書、構造データ、正確な数量、そしてパース画像が、一つの建物モデルから作成できることを意味します。面白いことに、このコンセプトの利点を理解された方は「全てをすぐに手に入れたい」という衝動に駆られるようです。結局のところ、BIMアプリケーションを購入する理由はここにあるのでしょう。そして、BIMを手に入れると、クリスマスツリーに集まる子供の様な気持ちになります。新しいおもちゃに興奮し全てのおもちゃで同時に遊
100年に1度くらい絵を描きます。 『crack』 / 『cruck』 どうなっているのかというと、 こうなってて… こうなっています。 大きいサイズのものはこちらに展示しています。 実物サイズはφ250mmくらい。 ともに6時間くらい、インクペンでしこしこと。 以前、2009.12.19.mashcomix10周年記念パーティのエントリを 読んでくださった方はお気づきかと思いますが、 ライブペインティングでのひび割れドローイングを応用してます。 これをつくるタイミングの機会を与えてくださったのは、 QR CODE MUSEUM (キューアールコード美術館)を主催したg86の皆さん。 QR CODE MUSEUM 前回からドカンとディベロップしたこの企画に参加作家としてお声掛けいただき、 都市空間に浮遊するQRコードから絵を閲覧するというこのコンセプトに即して
元を辿れば長野の山奥のクソ坊主なのだが… いっちょまえにCOMME des GARCONS 3を買ってしもうた。 COMME des GARCONS 3 ラストノートのシダー(杉)がトップからかなり主張していて、 ふと香るたびに少しだけ背筋の伸びる感覚がする。 キャラクタの強いギャルソンのフレグランスのシリーズのなかでも、 これはとりわけ異端な香り。 パッケージデザインの異様さも相まって、たまらず購入してしもうた。 PRADA AMBER POUR HOMME / HERMES UN JARDIN SUR LE NIL これでマイフレグランスは PRADA AMBER POUR HOMME HERMES UN JARDIN SUR LE NIL と併せて3種。 天気、気分、場面に任せての使い分けがとても楽しい。 さてそのクソ坊主がどうしてフレグランスなんか買い始めたかと言うと、 かつてFM
唐突だが、西夏文字は残っている。 チンギス・ハーンによる異常で執拗な抹消行為の隙間を縫い、 長らく「解読」は出来なくなったものの、「形状」は奇跡的に現代へ残った。 今日はこのことについて思うことを、ただ思うことを、 文字という至高の芸術に敬意を表して、ただ長々と書いてみたい。 出張中の飛行機のなかで、いつも楽しみにしているANAグループ機関誌:『翼の王国』を読んでいると、 「流砂に消えた王国」という西夏の遺跡を巡る旅行記事があった。 ちょうどビックコミックスピリッツに連載している伊藤悠:『シュトヘル』という 西夏文字をテーマにしたマンガの魅力にやられまくっていたため、 興奮して隅から隅まで読ませてもらった。 西夏文字と李元昊 西夏は1038年~1227年に中国西北部に存在した、タングート(チベット系民族)の国である。 李元昊(り・こうげん)という天才政治家によって建
第三部です。満員御礼。 +++ ■作品のプレゼンテーション ・名和晃平さん インターネットで出会ったものをモチーフにすること、 ビーズ、起毛といったテクノロジーによって実現される作品、 現代でしか作り得ない手法によって、 経験的に知っているもともとの形態が消えていく境界が面白い。 別のものになる瞬間、ボリュームだけがあるという状態に 切り替わるときに、ものに対して自分が何を見ていたか、 ということの発見があり、次の作品へと続いていく。 今後は蓄積されているダウンロードデータを 組み合わせたり加工したりしてトランスコードしていきたい。 ・石上純也さん 自分を取り巻く色んなものがひしめく大きな環境のなかで 新しいバランスを作り上げていくことで 一過性のものではない、世界の成り立ちのようなものを発見したい。 たとえば計画中の物件で 小さすぎて成立しない住宅と小
第二部のおさらい。 +++ ■それぞれの作品プレゼンテーション。 ・金氏徹平さん 既製品を組み合わせることで作品を作っている。 自分でやったことはなにもない。 興味のあることは、 形のない現象や、形を留めないもの(動的なもの)を作品にできないかということ。 たとえばコーヒーの染みから作られた立体作品では、 液体の跡を切り抜いて、染みという現象を 無理矢理形にしてしまったことに手ごたえがあった。 形を定着させるはずの彫刻が、形を留めないもので構成されているという状態を作りたい。 ・永山祐子さん ものの実体と、実際それを見た人の受ける印象の差に興味がある。 見ている人側に焦点を合わせることで、実体の方が変わってくることが面白い。 「実体としての身体」と「身体感覚」のギャップを追い続けることで 経験(個々人の慣習)からのゆるやかな脱却、つまり精神的自由へ到達できる
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