「8月末までの間、今回の宣言が最後となるような覚悟で政府を挙げて全力で対策を講じていく」。緊急事態宣言の拡大を決定した30日夜の記者会見で、菅義偉首相はこう説明した。だが、ワクチン接種の進展により、デルタ株の「第5波」を食い止められるとの楽観シナリオは崩壊。低姿勢で感染防止への協力を重ねてお願いしても説得力を欠き、国民になかなか響かない。後手のコロナ対応が首相の求心力をじわじわとそぎ、自民党総裁選と衆院選を前に正念場が来た。 (久知邦、前田倫之、大坪拓也) 【図解】自民党「実力者」の相関図 午後7時、紺のスーツで会見場に現れた首相は普段通り、淡々とした表情で約15分間にわたり現状認識を披露した。 「ワクチンこそがまさに決め手。さらなる効果を発揮するまでの今しばらくの間、一人一人が高い警戒感を持って感染予防を徹底し、慎重な行動を取るようお願いする」「重症化リスクを7割減らす画期的な治療薬が今