朝日新聞の名物コラム「天声人語」の決めつけ好きな体質はいまも変わらないようだ。5月12日付では、検察官の定年を延長する検察庁法改正案を批判するなかで「ときの政権の覚えめでたい人の特別扱いが常態化すれば、検察の牙が抜かれる。(法案反対は)当然の危惧であろう」として、東京高検の黒川弘務検事長の定年延長問題を引き合いに出した。 昭和55年7月に成立した鈴木善幸内閣は防衛力強化の方針を打ち出し、8月15日には閣僚18人が靖国神社に参拝したが、この動きを政府・自民党対民衆の綱引きにたとえて「強引に綱を右へ引っ張り出した」と書き、「右傾内閣」と決めつけたのも「天声人語」だった。 学習院大学の香山健一教授(故人)は当時、産経新聞の「正論」欄で「『右寄り』とか『右傾化』というような不正確で幼稚なレッテル張りや報道の仕方を中止したときにはじめて、日本の将来をめぐる論争は、創造的、建設的なものになるであろう」