文部科学省の前川喜平・前事務次官の告発によって、政と官の関係が注目を集めている。多くの人が様々な議論を提起しているが、問題点が整理されておらず隔靴掻痒そのものだ。結論を言うと、この問題は大問題だ。 まず、高等教育機関の設置を「特区」という極めて部分的措置を議論する枠組みで決定してはならない。岩盤規制突破のために各省庁の抵抗を政治主導で突破するという大義は重要だが、本件はそういう種類の問題ではない。加えて、官僚の独立性は「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない」(憲法15条2項)によるものであって、総理大臣が言っているからだの官房長官に人事権が握られているからだのと言うべきことを言わないのは公職に奉職する者として自殺行為だ。文科省は、大臣も幹部職員もモゴモゴ言っているだけでロクに反論もしないのであれば存在価値がない。問題の背景を適切に理解していない似非有識者の感情的コメン