焼き魚やブロッコリー、卵焼き、ミニトマト…。名古屋市港区の「しおかぜ作業所」では、約十人の障害のある利用者がスタッフと一緒に、彩りよい弁当を作っていた。高齢者向けに宅配し、手作りのおかずなどが売り。コロナ下で一時注文は減ったが、今は回復し一つ六百円で約三百食を売る。売り上げが伸びれば、事業の収益から支払う障害者の工賃も本当は上がる。 ただ、物価高の影響は深刻だ。油、鶏卵、小麦製品など、さまざまな食材が値上がりし、収益を圧迫している。「原価が一割以上高くなっている」と管理者の森脇拓恵さん(56)。しかし、販売先も年金生活などで収入が限られる人たち。弁当代を大幅に値上げするわけにはいかず、平均三万円台の月額の工賃は維持しつつ、収支が悪化した分、夏のボーナスを減らした。「今月から販路を拡大し、収益の目減りを減らしたい」と森脇さんは語る。