白石一文( 作家) ×池上冬樹( 文芸評論家) 対談 「自分が何者なのかを考えぬく。自分自身こそ大切な小説の種である」 第23回は作家の白石一文さん(聞き手は文芸評論家の池上冬樹さん)。小説家になるための方法や、デビューまでの苦労などについて、語っていただきました。 ◆作家の父をもつこと/たくさんの本を読んで/仕事で年に6万枚読む/しつこく書く ――白石さんのお父さんは、白石一郎という歴史小説の大御所です。作家を父に持つというのは大変ではないですか? 白石 どうなんでしょうね。たださきほどの講座で話したように、「一章を何枚で書くか」といった話を父としてきたわけですよ。「パパは8枚で、ぼくは9枚半だ」とか。そういう話をしてきたので、あんがい実践的には役に立っている気がしますね。 ――小さいころから、いっぱい本を読んできたと聞きましたが。 白石 本は読んでましたね。できるだけたくさんの本を