たまにはこの連載も気分を換えて,時流にでも乗ってみるかと思い立ったので,この本を紹介する。吉川弘文館の『読みにくい名前はなぜ増えたか』である。 どこぞのエライ人が偏差値と関連付けて何か言ってしまったせいか,近頃にわかに子供の名前の読みにくさが注目を浴びている。我々の分野に引きつけていえば,まるでアニメやキャラクターゲームの登場人物みたいな「響笛」(ひびき)ちゃんだとか,「来愛」(くれあ)ちゃんだとかが,すっかり普及しているのだ。おしゃれといえばおしゃれだし,親御さんの思い入れも強く感じられるが,第三者から見ると,とにかく読めない。 こうした事態に対する本書の分析は,手っ取り早くいうと次のような主旨だ。 親御さんはプラスの意味で個性的な名前を付けたい 人名の読みには,法的規制がない 人名に使える文字には法的規制がある 画数や文字の縁起/イメージが使える字を限定する なんというか,正しいのだが