<対中制裁強化のためEUと手を打ったトランプ、おかげで欧州勢は対米輸出で中国を出し抜ける> 一時は本格的な貿易戦争に突入しかねなかったアメリカとEU。しかし今、前線は静まり返っている。 欧州委員会のジャンクロード・ユンケル委員長が7月末にドナルド・トランプ米大統領と会談し、合意に達したからだ。両者の合意は世界を驚かせたが、よく考えれば当然の帰結だった。 合意の核心は「自動車を除く製品の関税ゼロ、非関税障壁ゼロ、補助金ゼロに向けて協力すること」。米欧間の交渉が進む間は新たな貿易障壁を設けないことになった。つまり自動車関税も棚上げされたわけだ。 注目すべきは、米欧が自由貿易協定の取りまとめに向けて交渉を行うことではない。トランプがEUの鉄鋼・アルミ製品に輸入関税を課したことから始まった「目には目を」の報復合戦のエスカレートを、トランプ・ユンケル合意が止めたことだ。 アメリカの大統領は、自国の安
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