起業家の皆さんに「あなたが解決しようとしている顧客の課題は何ですか?」と聞いたときに、「この市場にはこういう課題があります」というような答えが返ってくることがあります。たとえば、 「オンライン診療が日本では普及していない(だから私たちはオンライン診療アプリを作っている)」 「機会損失が〇〇円という試算がある(だからこの業界の業務効率化に取り組む)」 「〇〇人分の人材不足と言われている(だから人材マッチングに取り組む)」 などです。 市場の課題が大きいことは機会が大きいことを示唆しており、確かに参考になる一つの情報です。しかし投資家などが知りたいのは、「目の前の顧客の一人は、いったい何に困っているのか」という顧客の課題のほうです。 市場で起きている課題はある意味で病気の症状です。症状自体も重要ですが、症状を起こしている病因の仮説のほうがより大事です。 病因の仮説がなければ、適切な薬の処方をす