(「メディア展望」3月号掲載の筆者記事に補足しました。) 英国が欧州連合(EU)から完全離脱した今年1月、新型コロナウイルス感染症(COIVD-19)のワクチン供給を巡って両者は大きく対立した。新たな協力関係を築くはずの英国とEUは、互いへの不信感を募らせてしまった。 この問題について、欧州大陸に住む人と在英者の視点は若干異なることがあるようだ。 ここでは、在英者の視点から、ワクチン騒動を振り返ってみたい。 どこに衝突のきっかけがあったのか。 EUは一括注文、英国は独自の道を選択 昨年、新型コロナウイルスの感染が世界中に広がった。英国は1月末時点でEUから離脱していたが、12月までの「移行期間」中、加盟時とほぼ変わらない扱いを享受した。 6月、EUはワクチンの購入交渉を一括して行う仕組みを設置。より低価格で購入し、加盟国間の競争を防ぐ狙いがあった。義務ではなかったが、全27加盟国が参加した