英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ by polimediauk
![英国の小説家ロアルド・ダールの表現修正で議論沸騰 出版社による書き換えは許されるべきか | 小林恭子の英国メディア・ウオッチ](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/54eff32cbec67087a89d7c297b7df8ca5afe5c62/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fimage.excite.co.jp%2Fjp%2FappleIcon%2Fapp%2Fblog%2Fapple-touch-icon.png)
会場には職員によるウクライナ支持の写真パネルがあった(筆者撮影) ロシアのウクライナへの武力攻撃が続く中、ポーランド北部の都市グダニスクで、「自由な欧州メディア(フリー・ヨーロピアン・メディア)」会議が開催された。 主催は欧州最大のジャーナリスト組織「欧州ジャーナリスト連盟(EFJ)」と報道の自由を強化するための運動「フリー・ヨーロピアン・メディア」。会場はポーランドの自主管理労組「連帯」の歴史を記録する「欧州ソリダリティセンター(ECS)」であった。 ウクライナで戦争が起き、各地で人災が発生する中、メディアは、ジャーナリストは何をするべきなのか。そんな問いを共有しながらの議論の一部を紹介したい。 欧州ソリダリティセンターの外観(筆者撮影) ECSのアトリウムに置かれた写真パネル(筆者撮影) 会場となったECSのアトリウムには、黄色と青色のウクライナ国旗をモチーフにした紙を持つ職員たちの大
(「メディア展望」3月号掲載の筆者記事に補足しました。) 英国が欧州連合(EU)から完全離脱した今年1月、新型コロナウイルス感染症(COIVD-19)のワクチン供給を巡って両者は大きく対立した。新たな協力関係を築くはずの英国とEUは、互いへの不信感を募らせてしまった。 この問題について、欧州大陸に住む人と在英者の視点は若干異なることがあるようだ。 ここでは、在英者の視点から、ワクチン騒動を振り返ってみたい。 どこに衝突のきっかけがあったのか。 EUは一括注文、英国は独自の道を選択 昨年、新型コロナウイルスの感染が世界中に広がった。英国は1月末時点でEUから離脱していたが、12月までの「移行期間」中、加盟時とほぼ変わらない扱いを享受した。 6月、EUはワクチンの購入交渉を一括して行う仕組みを設置。より低価格で購入し、加盟国間の競争を防ぐ狙いがあった。義務ではなかったが、全27加盟国が参加した
「実名報道を考える」では、共同通信編集局特別報道室の澤康臣編集委員(当時。4月から専修大学文学部ジャーナリズム学科教授)に聞いた現場の話を数回に分けて紹介している(澤氏の経歴は記事の最後に付記)。 第1回目:【実名報道を考える】現場の記者に聞く なぜどのように匿名志向が生まれたのか 第2回目:【実名報道を考える】現場の記者に聞く なぜ実名報道が基本になっていくのか 第3回目:【実名報道を考える】「出る杭は打たれる」空気 メディアは当局との距離をどう取るか 第4回目:【実名報道を考える】「行儀の良さ」よりも「戦闘的ジャーナリズム」を 英米報道の現場とは 第5回目:【実名報道を考える】私たち一人一人が「パブリック」を構成している 「お客さん」ではない 最終回は、メディアスクラムについてどうするべきかと、澤氏がこのテーマで「気になっていること」をうかがった。 なお、同氏の話はあくまで個人的見解で
欧州に住んでいると、ロシア対西欧諸国の情報合戦をひんぱんに目にする。 例えば、今年3月、そして6月末に英国で発生した、神経剤「ノビチョク」による男女数人への攻撃だ。3月には英南部ソールズベリーで、ロシア連邦軍参謀本部情報総局のセルゲイ・スクリパリ元大佐と長女ユリアさんが一時重体となり、6月末にはソールズベリーから数キロ離れたエームズベリーでドーン・スタージェスさんと友人のチャーリー・ラウリーさんが意識不明となって病院に運び込まれた(7月8日にスタージェスさんは死亡)。 どちらの事件でも英政府はロシアの関与を疑っているが、ロシア側はこれを否定している。 4月、米英仏はシリアに爆撃を行ったが、これはシリア軍が東グータ地方ドゥーマー市で市民に「化学兵器を使用したこと」が理由だった。シリアとロシア側は「化学兵器は使われていない」と主張している(この件の詳細は青山弘之氏の記事に詳しい。米英仏のシリア
(ニーマン・ラボのサイトから) パナマの法律事務所「モサク・フォンセカ」から流出した、金融取引に関する大量の内部文書。これを元に「パナマ文書リーク」の報道記事が続々と出ている。 いったいどうやって情報がメディアの手に渡り、各社の報道につながったのか。 ウェブサイト、ニーマン・ラボ(4月4日付)とワイヤード(4月4日付)の記事から、要点をまとめてみたい。 法律事務所の内部文書は1977年から2015年12月までの期間のもので、1150万点に上る。文書のサイズは2・6テラバイトに及ぶという。ウィキリークスの手によって世に出た米外交文書リーク(「ケーブルゲイト」、2010年)が1.73ギガバイトであったので、これの数千倍になるという。 1150万の文書ファイルには480万の電子メール、100万の画像、210万のPDFが入っていた。 経緯は 2014年末、ある人物が南ドイツ新聞の記者に暗号化された
昨日に続き、東洋経済オンラインにもう1つのインタビュー記事が出ている。 東日本大震災を試練に日本は自信を取り戻す――英メディアが見た大震災下の日本http://www.toyokeizai.net/business/society/detail/AC/7b78588dd49be0ae5802692dd4fe2e26/ 今回は、英「エコノミスト」誌、アジア担当エディターのドミニク・ジーグラー氏のインタビューである。同氏はコラム「BANYAN」を毎週執筆。1994年から2000年、中国特派員、05年から09年、東京支局長を含め、過去18年間、アジア地域の報道を担当している。 取材時のこぼれ話だが、もっとも盛り上がった話題の1つはメディア批判。それと、日本に「静かな革命が起きている」という話も印象的だった。 ジーグラー氏は、ジーンズにセーターの楽な姿で受付に姿を表し、まず日本語であいさつ。非常に
(この中に、ソニーのプレイステーションの話が出てきますが、最初、「パワーステーション」と間違って表記されていました。また、任天堂WiiをWII表記しておりました。訂正しておりますが、間違った情報を出してしまったことを、お詫びします。) 以下は「週刊東洋経済」のテレビ特集号(14日発売)に掲載された分に補足したものであるが、今回、NHKのオンデマンド放送を調べてみて、何故無料で提供されていないのかの根拠が、「放送法第9条第2項第2号」にあることを知った。〔先の段落に情報追加) これによって、NHKオンデマンドサービスは受信料を財源としないことが定められている。そこで、いろいろ工夫をこらしながら、様々なお試しコースを設けて、なんとか利用者を増やそうとしている。 何故、放送法のこの項目がそうなっているのか(受信料外の業務とされたのか)の背景が、よく分からなかった。これはつまり、「放送と通信の融合
前回、BBCのQI問題について書いたが、「私なら笑って、無視する」という表題や内容に、疑問や怒り(場合によっては)を感じた方が結構、いらっしゃるかもしれない。 ある意味ではシンプルなことを、いかにそれがシンプルで、他愛ないことであったかを説明するために、汗をかいてしまうーそんな状況に私たちはいると思う。 どれほど、「このクリップに関しては、大きく抗議するほどのことではないよ」「私はそう思うよ」と言っても、「被爆・原爆をコメディー番組のトピックにしたこと自体がいやだ」という感情は消えないだろうし、「第一、君(=小林)の判断力はちょっとおかしいんじゃないか」と、思う人も結構いらっしゃると思う。 そこで英語ブログ「アワ・マン・イン・アビコ」の話になる。日本に住む英国人男性が書いたものであるようだ〔最後にアドレスをつけている〕。 このブログの優れたところは、これが「英国人が」書いた部分(英国人――
(若干バタバタしているので、ほんのメモ書き。) 例の「尖閣ビデオ流出問題」の件。数日前に、たまたま、グーグルで国際ニュースを見ていて、このトピックにぶち当たった。ライブドアのBLOGOSで意見をいろいろ、読んだ。 その時点では、「流出、けしからん」論が非常に強かった。驚いて、何か書こうと思ったが、一筋縄では行かない気がして、2-3日が過ぎた。今朝ぐらいまでに、すっかりいろいろな意見が出て、「流出でもいいじゃないか」「出たほうが良かった」という意見もぞくぞくと出るようになっていて、ほっとした。 私が尖閣ビデオ流出問題を知ったとき、いわゆるウィキリークス的な話で、あまりにも似ている状況だ、と直感として思った。しかし、その反応は、少なくとも当初、日英の間で、あまりにも大きく違っていたように思う。(英国では、ウィキリークスの場合、「すごい!」「よくやった!」という好意的な反応があり、焦点はその後、
ドイツのメルケル首相が、「多文化主義社会は失敗した」と言ったそうである。 http://www.bbc.co.uk/news/world-europe-11559451 すごいことになったなあ、と思った。一国の首相が思い切ってよく言ったものである。 BBCの記事によれば、メルケル首相はいわゆる「多文化主義」の概念―互いに隣同士に幸せに生きるーは機能してないし、移民たちはドイツ社会に融合するために、もっと努力をするべき(例えばドイツ語を学ぶなど)、と言ったそうである。 ドイツで反移民感情が高まっているそうで、記事の中で紹介されているシンクタンクの調査によれば、30%のドイツ国民が、自分の国が「外国人によって制圧されている」と感じている。また、移民の一部がドイツの社会保障目当てにやってきた、と思っているのだそうだ。 ドイツは1960年代に労働者を外国から呼び、「今その人たちはドイツに住んでいる
グーグルが中国から撤退する(かも)という件が話題になっている。すでに多くのコメントが出ているが、つらつら考えるに、「グーグル以外の検索エンジンあるいは電話サービスが、グーグルの代わりにはなれないのだろうか」と思う。問題はそんなことじゃない!のだろうけれどー。 グーグルの本を書いた、ジェフ・ジャービス米教授が「グーグル、よくやった!」という視点から書いている。グーグルは中国検索市場の30%を占めていたようだ。 「グーグルがやるべきこと」 http://www.buzzmachine.com/2010/01/12/what-google-should-do/ 話は変わる。BBCについて、である。 「新聞研究」12月号に、BBCの状況に関して書いた。この時よりも事態はさらに変化しているのだが、とりあえず、前段として以下にその原稿を掲載する。英放送業界の概要のような話になっているので、お時間のある
ネット・プロバイダーにしろ、電話通信会社にしろ、放送局にしろ、どんなサービスをどうやってネット上で提供するかで熾烈な競争が起きている。 ケーブル・サービスあるいはネット・プロバイダーの1つ、バージンメディアが、ユニバーサル・ミュージックと提携し、無制限に音楽ダウンロードができるサービスを提供する。 http://www.ft.com/cms/s/0/509ee3a8-59c3-11de-b687-00144feabdc0.html ネット上での違法音楽ダウンロードが横行しており、これに対抗するための、1つの方法ともいえる。このサービス自体は有料だ。ただ、今のところ、金額がいくらになるか、バージンメディアは明らかにしていない。バージンメディアのネットサービスを使って、違法ダウンロードを繰り返す契約者にはネットへのアクセスを遮断するという措置もとるそうだ。 ユニバーサル・ミュージックでダウンロ
コメントを残された方も指摘していたが、日本も含めて、グーグルが検索エンジンとしてはトップではない国が世界にはある。こうした国での検索エンジンのシェアをフィナンシャルタイムズの9月16日付けがグラフにしている(The non-Google world)。元々は米コムストアの調べ。中国、ロシア、韓国、日本、チェコのグラフである。 http://www.ft.com/cms/s/0/4fddc05e-841e-11dd-bf00-000077b07658.html グーグル・サーチの未来に関しては、創立10周年ということで、グーグルのオフィシャルブログにThe future of Search (by Marissa Mayor, VP, Search Product & User Experience)というエントリーがある。 http://googleblog.blogspot.com/20
グーグルEMEA(欧州、中東、アフリカ諸国地域)のユーチューブのコンテントパートナーシップのディレクター、パトリック・ウオーカー(Patrick Walker)氏のインタビュー。 氏のキャリアは、なんと日本のNHKから始まったという。ロンドンに戻ってきたのは2000年だそうだ。インタビューは在英ドイツ人ジャーナリストのヘニング・ホフ氏が担当した。ホフ氏はフリーランスで、メディア関係の記事をドイツ及び英国の新聞に書いている。 個人的に参考になったのが、ネットで見る動画(ビデオ)市場がこれからもどんどん大きくなって、市場参加者全員が利益を得られる豪華な「晩餐」になるだろう、という予測だ。ビデオ市場はあまり伸びないのではないかと英テレビ界で聞いたばかりだったので。以下はインタビューの一部抜粋。 「幸せなユーザーと幸せな広告主」 ―グーグルの欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域の特徴とは? ウオー
今、東京で「Google Enterprise Day 2008 Tokyo」というイベントが開催されているという。詳細は「@IT情報マネジメント」というサイトに出ていた。http://www.atmarkit.co.jp/news/200811/12/apps.html グーグルアースが古代ローマを立体復元化(ネット上で)した、というニュースも出ている。 http://news.bbc.co.uk/1/hi/technology/7725560.stm 様々な情報がグーグルに一元化されてゆくことに危惧を感じているが、グーグルが本当にオープンになって、一種の公的サービスになってゆく、という道もあるのかなと思ったりする。その時には一民間企業ではなく公的機関になっている、という想定だが。 グーグルに関してはここに来られる方の方が情報をたくさん持っていらっしゃると思うが、一つの参考情報として、9
毎日新聞が「Wai Wai」で不適切な記事が掲載されていた件で、謝罪し、検証結果を20日付で紙面とウェブに掲載した。 http://www.mainichi.co.jp/home.html#02 思わず読みふけってしまったが、「悪いところは摘出しました」という感じで、やはり、読者に向けてのメッセージとしてはこういう風になってしまうのだろう。 いろいろな方がいろいろな感想を持つのだろうし、パーフェクトな謝罪・検証はないかもしれない。それでも、毎日自身がそう思っているというよりも、「読者があるいは世間がそう受け止めているから」ということで、書かざるを得ない表現もあったと思う。 ・・・と前置きをしてからだが、謝罪や検証記事を読んで、疑問を持つ、あるいは違和感を感じた点は結構多かった。 まず、「海外に出た」こと自体が1つの問題であったかような文脈だ(そうせぜるを得なかった事情は理解できるけれども)
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