10年ほど前に、業務上の過失により患者(妊産婦)を死亡させたとして逮捕された、産科医をめぐる刑事裁判「福島大野病院裁判」について、ご記憶の方も多いだろう。テレビカメラの前で医師が逮捕されるというショッキングな出来事から始まり、娘を亡くした父親視点のドキュメンタリー番組が作られるなど、報道は過熱した。裁判の結果、99%を超える刑事事件の有罪率の壁を乗り越え、医師は無罪となった。この本は、その弁護にあたった弁護士がまとめた記録である。 本書は、徹頭徹尾、以下の立場が貫かれている。 弁護団は、決めていた。何があろうと、患者さん家族の如何なる言葉にも反論しない。そのご心中を察すれば、まして、生まれた時に、その母はいない子のことを思うからである。 裁判は闘いである。しかし、ご遺族と闘うのではない。検察との闘いでしかない。~本書より 判決後、医師は「患者さんの期待や要望に応えることが出来なかったことは
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