![明日に向かって撃て! - 美の特攻隊](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/15771efd2ab1c988ea784e4cd9fc5805134828fe/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fcdn-ak.f.st-hatena.com%2Fimages%2Ffotolife%2Fj%2Fjammioe%2F20200404%2F20200404103206.jpg)
「なにも答えられない、そう思われるのはわかっていました。 手ごたえのなさに失望してしまう君の表情をただあるがまま浮かべているだけ、それは予感どころか、僕にとってなんとしても回避させなければいけない神経経路でした。しかしたえられないのは君だけではありませんよね。 めぐりあう時間を無造作に切り捨てる傲慢さがどこに由来するのかは知りませんけど、少なくとも今の僕はどのような形であれ好意という感情に傾斜をつけることなど出来ないのです。憐れみを投げつけるなんて術はどこにありようはずもなくて、ひたすら感謝の気持ちでいっぱいですから。 たしかにお手紙をいただいた日は驚きでいっぱいになりました。まったく思いもよらなかった告白、しかも僕の実情を鋭い嗅覚で忖度するような筆使いには理知が走り、夢の光景さえあぶり出して、なんらかの展望をまばゆく語っているではないですか。 何回も何回も読み返しましたよ。もちろんちゃん
「お家に着きましたか。ごめんなさい、さっきは勝手なお願いをしてしまいました。 とても胸がどきどきして、気持をはっきり伝えたいのにもじもじして、たとえ手紙を受けとってもらえても、わたしの表情ですぐにあなたは察してしまい、ぴしゃりと拒まれたらどうしよう、今日のうちにしおれてしまう花びらみたいなはかなさが怖くて、せめて一晩くらい気ままなときめきを胸に囲っておきたかったのでした。 でも住所を書かなかったのは同じ理由からでなく、とても言いづらい恥ずかしさがあって、変な意味ではないのですが、なんだかよくわからないまま、失礼を承知で、あっ、わたしなにを言ってるんでしょうね、すいません。 しかし勇気をもって、そう、こんな手紙をお渡しするのですから、ちゃんと説明しなければいけませんね。 あなたはすてきなひとです。頭がよく優しそうな雰囲気があり、相手のことをしっかり感じてくれる、わたしの一方的な想いと軽んじら
久しく堪えてきました夜食、しかし晩秋の深夜の孤独に対して見合ってくれるのは、やはり、インスタントラーメンであって、カップ麺じゃありません。 昭和スタイルの袋麺であります。 そういった数ある種類のなかでも定番が台所の隅っこに眠っているのは郷愁そのものです。 てっとり早くつくりましょう。なんせ、もういつも通りふて寝の時間だったので、ほんとう、今夜はまれなんです。 ここんとこ再発見がエースコックのワンタンメンだったから、今夜は違ったものを・・・在庫はサッポロ一番塩ラーメンと徳島金ちゃんらーめん、チャルメラしょうゆ味、といった面々。 まよわず、サッポロ一番塩に決定! たまねぎ、にんじん、ながねぎを、麺の細さに見立てて切りそろえながらお湯をわかします。 フライパンに・・・麺が泳ぐ、吹きこぼれしないし、大人の落ち着きのような構えです。 小鍋には的確かつ、やや多めの湯を沸騰させ、さきほどの野菜をどさりと
額装におさまったふうな横顔を日に何度も思い起こしてしまうので、美子は仄かな水彩が少しづつ塗り重なってくる感じを胸中にとどめておこうと努めた。振り払ってしまうには頻繁過ぎるし、向こうがわに浮上する面影をとりたてて不快とは思わなかったからであった。 むしろ懇意な男性も交際相手もいない身にしてみれば、華やぎを代行しているようなときめきがやわらかな光にそっと包また情景を思い描き、ちょうど空模様に即したまなざしが揺れ動く、こまやかな生彩を育んでいた。 ところが美子にその横顔から想起される特定の人物を探しあてることは無論、少女の時分ひそかにあるいは友達同士で喋りあっていた歌手や俳優にあこがれた陽気な場面に重なることもなく、おぼろげな回想もよみがえってこない。 あとは美術館か画集で見知った印象じゃないかと意識をめぐらせたのだったが、不意にその詮索めいたな物腰から後ずさりしてしまった。 出来事の実情が常に
夢の光景にはいつも幽かな調べが流れています。 どれほど急展開しようと過剰な乱れが生じようとも、薄明への思慕から遠のくことができないように、自然の理はおののきを袖に含みながら、とても穏やかな威厳を醸しており、それは不吉な予兆さえ、あらかじめの了解に委ねられているのか、ある純度が保たれ、静謐なまなざしを投げかけては、足場がゆるやかにさらわれてしまう恐懼から逃れる術を持ち得ません。 夜空へおぼろに浮かんだ森の闇は、月明かりを忘れてしまったのか、胸の裡に去来するのは夢特有の焦燥のみで、色彩をもたない情景を語る言葉は不断に吃音へと導かれてしまい、はたして誰に対してたった今、遭遇した魔物たちの跳梁を説明しようと努めていたのかさえ判然としないのです。 あいまいな夜の稜線がそうであるように、魔性の棲家も明確な位置をしめしてはくれず、ただ漆黒にとけあった電線の連なりがひどく端的な例えに結ばれる様相を呈すると
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