統一地方選で、議会の勢力図が激変したのが東京都杉並区だ。女性の当選者が男性を上回り、現職や最大勢力の自民党の候補が大量落選。新陳代謝を印象づけた。変化を引き起こしたものは何か。(原田遼)
統一地方選で、議会の勢力図が激変したのが東京都杉並区だ。女性の当選者が男性を上回り、現職や最大勢力の自民党の候補が大量落選。新陳代謝を印象づけた。変化を引き起こしたものは何か。(原田遼)
大規模な金融緩和を中心とした安倍晋三元首相の経済政策「アベノミクス」の指南役として、当時内閣官房参与を務めた浜田宏一米エール大学名誉教授(87)は本紙のインタビューで、10年に及ぶ政策の効果について「賃金が上がらなかったのは予想外。私は上がると漠然と思っていたし、安倍首相(当時)も同じだと思う」と証言した。大企業の収益改善を賃上げへとつなげる「トリクルダウン」を起こせなかったことを認めた。 (渥美龍太、原田晋也、畑間香織)
専門職の人の労働時間規制を外す高度プロフェッショナル制度が、導入を主導した安倍晋三元首相らの当時の説明と懸け離れた運用になっている。経験が浅く希望もしていない人が高プロを適用された疑念が直近の調査で浮上。当時も今も所管の厚生労働相を務める加藤勝信氏は、当初の説明通りになっていない実態を指摘されても正面から答えず、制度を見直さない姿勢を示した。(池尾伸一、写真も) 高度プロフェッショナル制度 証券トレーダー、コンサルタントなど5業種の年収1075万円以上の社員を対象に労働時間の上限規制を外す制度。安倍晋三政権が政治主導で立案、過労死遺族や労働組合は「過労死を増やす」と反対したが2019年4月に導入された。今年3月末時点で21社22職場で665人に適用。2カ所の職場で在社時間と社外の労働時間の合計が月間400時間以上に達し、「過労死ライン」(残業含む労働時間月約273時間)を大幅に上回
新型コロナウイルスの第7波が拡大する中、東京都内では感染で容体が悪化しても救急搬送が極めて困難な状況となっている。7月末には高齢のがん患者の搬送先が見つからず、感染判明から10時間後に自宅で亡くなった。都が公表する病床使用率は50%台と数字上は空きがあるものの、訪問診療の医師は「なぜ入院できないのか」と憤りの声を上げる。(小川慎一) 搬送先の病院が見つからず、感染判明から10時間後に自宅で死亡した男性に手を合わせる田代和馬院長(手前)と男性の妻=東京都品川区で(ひなた在宅クリニック山王提供) 7月28日午後9時前、品川区内のマンション一室で、救急隊員がスマートフォンで電話をかけていた。感染し容体が悪化した男性(83)の搬送先を探し、既に2時間を超えていた。駆けつけた区内の「ひなた在宅クリニック山王」の田代和馬院長が「100件ぐらいかけたか」と聞くと、隊員は「100件以上かもしれない」。
閑散とした敷地に、案内係の職員が手持ちぶさたの様子でたたずんでいた。6月半ば、自衛隊が設置する東京都千代田区の新型コロナワクチン大規模接種会場。かつては希望者が多かった金曜日だが、訪れる人はまばらだった。 「会場の中もひっそりしてましたね」。3回目接種を済ませた千葉県松戸市の20代の女性会社員は話した。国内でのワクチン接種率は1、2回目が80%を超える一方、3回目は60%超で早くも頭打ちの兆しが見えてきた。医療の逼迫(ひっぱく)が緩和されて接種の必要性を感じにくくなる中、副反応への懸念から接種を避ける人も少なくない。 接種の鈍化で目立ってきたのが、有効期限を過ぎたワクチンの廃棄だ。特に米モデルナ社製は副反応の強さが心配され、期限までに使い切れない自治体が各地で続出。品川区では約6万回分、大阪市では約8万5000回分、広島市では約7万回分が廃棄に回った。 「無駄が出ないよう工夫したが、3回目
物価高と賃金の伸び悩みへの対応は、参院選の大きな焦点になる。30年近く上がらない賃金では、現在の物価急騰をカバーできないからだ。アベノミクスの柱といわれた金融緩和は円安を助長し、さらに物価を押し上げる副作用も指摘されている。与野党には生活の防衛策の提示だけでなく、現在の政策が国民に及ぼす影響への検証も求められている。(渥美龍太)
ジェンダー平等の観点から、公立小中学校で男女混合出席簿の導入が進んでいる。島しょ部を除く東京都内の区市町村と首都圏6県の政令・中核市計68自治体に尋ねたところ、小学校は93.2%が導入していた。一方、中学校は74.7%にとどまる。専門家は「男女別出席簿は『性別で分けられる』という意識の刷り込みにつながる。繰り返し、『男子が先』に呼ばれる影響は大きい」と改善を求める。(奥野斐) 男女混合出席簿は、出席番号で男子の後に女子が続くのは男女平等にそぐわないなどとして、1980年代から導入され始めたとされる。本紙は1月から、68自治体の教育委員会に現状を尋ね、「新型コロナで業務が逼迫(ひっぱく)している」という東京都福生市を除き回答を得た。 都内では、小学校の導入は9割超。中学校は導入ゼロが16自治体で、そのうち13自治体を多摩地区が占めており、武蔵村山市は「保健関係の個人情報が男女別で、混合名簿も
神奈川県は26日、医師の診断と確定検査を経ず、抗原検査キットなどで新型コロナウイルスの感染を自分で判断して療養する「自主療養」を28日から始めることを決めた。自主療養者には無料通信アプリ「LINE」などで県から安否確認の連絡はあるが、健康管理や食事の調達は自己責任になる。県によると、全国で初めての取り組み。
厚生労働省が昨年、過労死などの労災認定をする際の労働時間の算定について、一定条件下の仮眠を除外したり、持ち帰り残業で極めて厳しい基準をとるよう全国の労働基準監督署に通達していたことが分かった。労働時間のとらえ方を労災被災者らの救済を目的とする労災保険法でなく、法令を守らせる労働基準法に基づいていることを問題視する声も強い。労働時間が実態より過小に算定され、労災の「不認定」の増加につながる恐れがある。(久原穏) 厚労省の意図について、過労死問題に取り組む弁護士でつくる「過労死弁護団」は「働き方改革と言いながら、労災認定が増えるのは不都合だからではないか。(労働者より)経営側に立つ政権の意向に沿うためもある」と推測する。 通達は厚労省労働基準局補償課が昨年3月30日付で送った「労働時間の認定に係る質疑応答・参考事例集」。機密扱いだが、家族を過労死で亡くした遺族ら関係者の情報公開請求で明るみに出
みずほフィナンシャルグループ(FG)は15日、みずほ銀行のシステム障害の責任を明確にするため、坂井辰史社長の役員報酬の減額などの処分を発表した。 のべ700人超の役職員への聞き取りなどをした第三者委員会の報告書からは、みずほ銀行の理念である「一人ひとりがお客さま起点を徹底し、自ら考え行動する」とは真逆の顧客軽視の姿勢が浮かぶ。 「ATMのエラー発生が多発しています」。報告書によると、2月28日午前10時15分、業務委託先の管理センターからみずほ銀行の6つ以上の部署へ430件のエラーを検知したとの緊急メールが送られたが、対応に動く担当者はいなかった。通帳やキャッシュカードがATMに取り込まれるトラブルは最終的に5244件発生したが、それを想定できなかった。 複数の部署の担当者は午前11時12分にはATM前で顧客が立ち往生していることをSNS上の情報で把握。休日対応で人員の限られた問い合わせ電
菅義偉首相は10日、参院予算委員会の集中審議で、立憲民主党の蓮舫代表代行から東京五輪・パラリンピックについて問われたが、同じ文言を読み上げるばかりで、まともに答えなかった。
森喜朗元首相は26日夜、東京都内で開かれた河村建夫元官房長官のパーティーで、衆院議員会館の河村氏事務所にいるベテラン女性秘書に触れ「河村さんの部屋に大変なおばちゃんがいる。女性と言うには、あまりにもお年だ」と述べた。女性蔑視発言で東京五輪・パラリンピック組織委員会会長を2月に辞めたばかりで、批判が集まりそうだ。 森氏は女性秘書に関し、河村氏よりも古くから議員会館で働いていると紹介。「私が河村さんの所を通ると、その女性が外を見ていて『森さん、ちょっといらっしゃい』と呼ばれて、ああだこうだといろいろご注意を頂いた」とも言及した。 森氏は2月、日本オリンピック委員会(JOC)臨時評議員会で「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」と発言した。その後撤回したが、国内外の非難がやまず、組織委会長を辞任。後任に橋本聖子前五輪相が選出された。(共同)
「重症で病院に運ばれてくる自宅療養者が出てきている」。県立循環器呼吸器病センターの小倉高志副院長は、既に療養者への支援が十分に届いていない人がいる現状を指摘した。さらに「悪くなってから助けるのはきつい」と、療養者の自己管理に任せて事態が悪化することに危機感を示した。訪問診療によるフォローなど「何か対策を検討してほしい」と求めた。 「かなり危険だ」。複数の参加者から異論が出たのは、自宅療養者のうち「ハイリスク者」として県の重点観察の対象となる人を、血中酸素飽和度が93%以下の人に絞ったこと。一般の人は98~100%で、県によると、93%以下は呼吸不全の状態に近い。 しかし、畑中洋亮・県医療危機対策統括官は「搬送先が少なく受け皿がない。県職員の業務量も増え、ハイリスクの人にしか手を打てない」と、病床と人材の両面が切迫していると訴えた。阿南英明・県医療危機対策統括官も「80代の人を(自宅に)とど
正社員なのに何年勤めても給料が上がらない-。定期昇給制度のない業種が増えている。従来常識では正社員なら年齢や経験とともに賃金が上がる。だが、介護関係や、販売店員などサービス業では正社員で長期間勤めてもわずかしか昇給しない状況が厚生労働省が三月末に公表した賃金構造基本統計調査(二〇一八年)で鮮明になった。政府は「同一労働同一賃金」を掲げ、非正規社員の待遇を正社員に近づけると言うが、実際には正社員「低賃金層」が急拡大している。 (渥美龍太) 「この業界では、寿退社の意味が普通と違います」。さいたま市の介護事業所で正社員のケアマネジャーとして働く女性(54)は言う。通常は結婚を機に、女性が育児に専念するなどで退社する意味。だが、介護業界では、結婚や出産でお金がかかるようになると、男性も女性も収入増を求め転職していく。「それほど給料は低く、ずっと上がりません」 女性が五年間の給与明細を取り出した。
10年目となった「クールビズ」が始まり、薄着やノーネクタイで仕事をする環境省の職員=1日午前、東京・霞が関 軽装で地球温暖化をストップ―。冷房時の室温が28度でも快適に過ごせる服装を呼び掛ける「クールビズ」が1日、始まった。今年で10年目に入り、多くの企業や官公庁で夏のノーネクタイが定着、スーツ一辺倒だった職場のファッションも多様になった。期間は10月末まで。 東京・霞が関の環境省は、雨上がりの蒸し暑さもあって大半の職員が軽装で出勤。クールビズを担当する国民生活対策室の藤本なな絵係長は、ピンクの沖縄の開襟シャツ「かりゆしウエア」姿で「昨日までは黒や紺の重い色の服装が多かったが、今日から職場が明るくなった」と話した。
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