現代ビジネスプレミアム会員になれば、 過去の記事がすべて読み放題! 無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
「コメントは編集」が当たり前の日本とは大違い アメリカで活躍する専門家集団「ファクトチェッカー」 取材ノートやテープも取り寄せ事実をチェック 前回(ウォーターゲート事件のディープスロートさえ「オフレコ」取材ではなかった)書いたように、日本では意味があいまいな「オフレコ」取材が日常的に行われている。結果として、新聞紙面は匿名や仮名であふれている。 なぜなのか。新聞社は都合のいいように発言をつまみ食いするだけでなく、発言内容にも勝手に手を加えるから、怖くて実名で語れない---こんなマスコミ不信があるのではないのか。 日米のジャーナリズムの現場を点検すると、オフレコ取材の定義と並んでコメントの引用手法に大きな違いがあることが分かる。アメリカと違い、日本では「コメントを正確に引用する」という報道慣行が根付いていないのだ。 それを裏付けるような"事件"が相次いでいる。1月5日には、インターネット動
ウォーターゲート事件のディープスロートさえ「オフレコ」取材ではなかった米国新聞の「ルール」 権力者に利用される日本の安易なオフレコ取材 新聞社に入社してまず学ばされる事の1つは「オンレコ」と「オフレコ」の使い分けだ。前者は「オン・ザ・レコード(記録あり)」の略で、後者は「オフ・ザ・レコード(記録なし)」の略である。 大まかに言えば、オンレコで取材した場合、記者は取材内容について制限なしに何でも書ける。一方、オフレコ取材は正反対であり、情報源の秘匿と結び付いている。前回まで3回にわたって書いてきた匿名報道以上に厳しい制限が課せられる。 日米ジャーナリズムの現場を比較すると、報道姿勢や取材手法でさまざまな違いが浮き彫りになる。中でも違いが際立っているのがオフレコ取材だ。言葉は同じでも、日本ではオフレコの意味合いが大ざっぱであるのに対し、アメリカでは取材内容を一切報道できない「完全オフレコ」を意
匿名、仮名、無署名・・・。名無しがあふれる、こんな日本の新聞記事を信じられるか? イラク帰還兵のウソが暴かれたのは実名だからこそ アメリカで一時は反戦ヒーローとして有名になったイラク帰還兵、ジミー・マッセーをご存じだろうか。 2003年3月の開戦直後から海兵隊員として戦地に赴き、アメリカ軍による残虐行為を目の当たりにする。そのショックで「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」を患い、数ヵ月後に海兵隊を除隊。その後、マスコミに頻繁に登場して自らの体験談を赤裸々に語る・・・。 以下、マッセーが語った話をいくつか紹介する。 ● 陥落直後のバグダッドで非武装のイラク人がデモ行進すると、海兵隊が無差別に発砲。多くが死亡する。 ● 検問所で止まらない車に向けてアメリカ兵が発砲。4歳のイラク人少女が頭を打ち抜かれ、即死する。 ● アメリカ軍の攻撃で死亡したイラク民間人の遺体を満載するトレーラーが走る。女性
2010年12月05日19:00 カテゴリネット政治 ウィキリークスとジャーナリズムの関係 12月4日にニコニコ生放送にて、「ウィキリークスとジャーナリズム 〜正義か、犯罪か?〜 」が放送された。MIAUの八田真行が出るというので見ていたのだが、一晩寝て頭をすっきりさせると、「重信メイかわええ」以外のことに気がついてきたので、書いてみる。 これまでもネットというのは、リーク先として使われることは多かったわけだが、それの総本山的なところができてきて、いよいよ国家単位のリークが集まるようになったことから、様々な批判が集まってきた。当然、情報が盗まれたとされる国にとっては、脅威となり得る存在なので、つぶすために圧力をかけるだろうが、一度こういう方法に人類が気づいてしまった限り、一つをつぶしてもいたちごっこである。 ウィキリークスを擁護するのは主にジャーナリストで、特に大手メディア社員ではなくフリ
スウェーデンなどに拠点を置く内部告発サイト「ウィキリークス」が再び世界的注目を集めている。同サイトが入手した情報に基づき、欧米の主要印刷メディアが一斉に秘密扱いのアメリカ外交公電を掲載したからだ。 米ニューヨーク・タイムズは11月29日付の1面トップで「流出した外交公電、アメリカ外交の内側を赤裸々に」との大見出しを掲げ、イランの核問題など公電内容を分析。さらに中面で合計4ページを使い、関連記事で埋め尽くしている。 25万件に上る外交公電の流出元について、同紙は紙面上では「もともとはウィキリークスだが、われわれは独自の情報源から匿名を条件に入手した」と説明している。 だが、その情報源はすぐに判明。ウィキリークスから直接情報提供を受けた英ガーディアンだった。 ホワイトハウスは不快感を露わにしている。外交関係を損ねかねない情報が満載されているからだ。 公電内容がインターネット上に流れ始めた11月
検証 ゴールドマン VS. 「市場の番人」SEC 捜査当局も実名で丸裸にする米新聞の「ヒューマンインタレスト」 アメリカの経済事件で今年最も話題になったのが、「市場の番人」証券取引委員会(SEC)による「最強の投資銀行」ゴールドマン・サックスの摘発だろう。何しろ、和解金が5億5000万ドル(円換算で400億円以上)に達し、ウォール街の制裁金記録を塗り替えたからだ。 「ゴールドマン VS. SEC」をアメリカの主要紙はどう報じたか。ポイントは3点ある。(1)「捜査される側」に加えて「捜査する側」の責任者についても実名で詳しく報じた(2)「捜査する側」が抱える問題点も浮き彫りにした(3)「捜査される側」の反論にも大きく紙面を割いた---である。 SECは今年4月中旬、サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)関連の証券化商品の販売に絡んで投資家をだましたとして、ゴールドマンをニューヨー
ソーシャルメディアへの誤解と、その可能性 ジャーナリズムは生き残れるのか 田原総一朗、長谷川幸洋、佐々木俊尚、津田大介シンポジウム vol.3 vol.1 はこちらをご覧ください。 vol.2 はこちらをご覧ください。 田原: 私は早稲田大学で授業やっているんですが、やってみて驚いたんです。アメリカはハーバードもスタンフォードも私学ですね。一銭も国から寄付をもらっていません。だから私学なんです。 ところが早稲田も慶応も、3分の1近く国からもらっているんです。あんなものは私学じゃない。 だから「文部省が偉そうなことを言う」って大学は言うけれど、国からカネをもらっていてね、偉そうもなにもあるものかと。 で、早稲田の総長とかに「何で国からのカネなんて断れないんだ」と言ったら、「OBが寄付しないんだ」って(笑)。 どうしよう、佐々木さん。あなた、寄付している? 佐々木: 僕は中退ですから(笑)。
大阪地検特捜部で郵便不正事件を摘発した検事はだれか? この質問に答えるのは今ではそれほど難しくないはずだ。 主任検事は前田恒彦であり、彼を指揮する立場にあった特捜部長は大坪弘道、同副部長は佐賀元明だ。大阪地検のトップである検事正や次席検事ポストにあった検事を認識できる人もいるだろう。 前田、大坪、佐賀の3人とも、連日のように新聞に顔写真付きで登場したからだ。郵政不正事件に絡んだデータ改ざん・隠ぺい事件で逮捕・起訴され、「捜査する側」から「捜査される側」へ転じたためだ。 郵便不正事件の摘発に取り組んでいた当時、3人は「捜査する側」として新聞に取り上げられただろうか。厚労省の雇用均等・児童家庭局長だった村木厚子を逮捕した時はどうだったか。 紙面上では、郵便不正事件に絡んで組織としての大阪地検は数え切れないほど紙面をにぎわしているにもかかわらず、同事件を率いていた3人が登場することはほとんどなか
「ホリエモン」こと元ライブドア社長、堀江貴文が書いた小説『拝金』が売れている。なぜこんなタイトルなのかというと、「拝金主義者」と呼ばれていた彼の体験を基にしているからだ。 「拝金主義者」として堀江に負けず劣らず有名だったのが、通称「村上ファンド」の代表を務めていた村上世彰だ。「物言う株主」として投資先企業の経営に注文を付けるなどで、堀江と同じ六本木ヒルズを拠点にしながら時代の寵児に躍り出た。 奈落の底に落ちるのも早かった。インサイダー取引の疑いが浮上した2006年、東京地検特捜部に逮捕・起訴され、ファンドは実質的に崩壊した。堀江が逮捕・起訴されてから数ヵ月後のことだった。堀江と同様に、1審に続いて2審でも有罪判決を受け、現在は最高裁の判決待ちだ。 当時の新聞紙面を点検すると、「検察寄りの一方的な報道」という点で、村上ファンド事件はライブドア事件と並んで際立っている。なぜなのか。 村上はメデ
「ソーシャル・ジャーナリズム」のビジネスモデルはできるのか 田原総一朗、長谷川幸洋、佐々木俊尚、津田大介シンポジウム vol.2 津田: いまメディアに対してもにも政治に対しても閉塞感が広がっています。たぶんネットで小沢一郎さんを支持していた人は、小沢一郎ならそれを打破してくれるんじゃないかと、というところがあったと思うんです。 僕は情報通信政策とかが専門分野ですけど、やっぱり「小沢さんか、菅さんか」という選択なら、小沢さんのほうが良かったかなという気がします。今回、原口(一博)さんが総務大臣を降ろされましたよね。 原口さんにはいろんな評価があるとは思いますけど、原口さんになったことで、いままでの総務大臣だったら間違いなく議題にも上らせなかったような問題が議論されることになりました。 電波オークションの話だとか日本版FCC(通信・放送委員会)を作りましょうという話だとか、いろいろな第三者機
郵便不正事件「冤罪報道」は氷山の一角 「無罪」が確定してもベタ記事扱いで終わった「ヤミ金資金洗浄事件」外銀元行員の報道被害 指定暴力団山口組旧五菱会絡みのマネーロンダリング(資金洗浄)事件で2004年に逮捕・起訴されたクレディ・スイス元行員、道傳(どうでん)篤--。彼について「資金洗浄の指南役」として記憶していても、無罪を勝ち取ったという事実を知る人は少ないのではないか。 海外を舞台にした資金洗浄の摘発は初めてで、「ヤミ金融の帝王」梶山進が中心にいただけに、この事件はマスコミで大きく取り上げられた。「指南役」としての道傳にも注目が集まった。ところが、無罪が確実になると、大新聞は道傳のことを忘れてしまったようなのだ。 前回の記事(「郵便不正事件 なぜ『推定有罪』がまかり通るのか」)では、郵便不正事件で逮捕・起訴された厚労省元局長、村木厚子について「幸運だった」と書いた。刑事裁判の有罪率が9
「ソーシャルメディア時代のジャーナリズムを考える」 Vol.1 新聞、テレビとtwitter、ブログの「世論」はなぜ違うか 田原: こんばんは。田原総一朗です。よろしくお願いします。民主党の代表選挙が終わったばかり(シンポジウムは9月16日開催)です。これはネットでもずいぶん盛り上がり、また新聞、テレビとネットのオピニオンの違いがはっきりしました。最初に、この点についていくつかお聞きしたいと思います。 長谷川さん、私なんかが見ていると、党員・サポーター、あるいは地方議員では菅さんが勝つと思っていたけれど、国会議員では小沢さんのほうが勝つんじゃないかと見ていた。ところが"逆転"して、というか菅さんが勝ちましたね。これは長谷川さんはどういうふうに見ていましたか? 長谷川: 私は、小沢さんはよく健闘されたなと思っているくらいでして。 というのはご承知のように新人議員がとても多い。あの人たちが代表
権力の暗部を暴くために内部告発に踏み切ると、大変なリスクを背負う。「世の中のために」と思って行動したのに、逆に犯罪人として刑務所に放り込まれることもある。 そんな背景から数年前、ウェブサイト「ウィキリークス」が生まれた。世界中から匿名の内部告発を受け入れ、偽情報でないかどうか調べたうえで公開するのを使命にする。7月下旬にアフガン戦争絡みの秘密文書「アフガン戦争日記」を公開したことで、一躍知名度が高まった。 アフガン戦争日記は、ベトナム戦争に関する国防総省機密文書「ペンタゴンペーパー」と比較されることが多い。アフガン戦争日記と同様にペンタゴンペーパーも内部告発者によって暴露された。 前回(「『アフガン戦争秘密文書』すっぱ抜いた『内部告発サイト』ウィキリークスと組んだニューヨーク・タイムズ」)は「日本でもウィキリークスは通用するだろうか」と問題提起した。この疑問に答えるために、まずはペンタゴン
国際会議の取材現場では、日本の新聞社の「速報ニュース至上主義」が浮き彫りになる。これを象徴するのがぶら下がり取材だ。 記者は、歩いて移動中の取材対象者に「ぶら下がる」ようにして質問する。会議を終えてホテルに向かおうとする取材対象者を取り囲んだり、記者会見を終えて会見場を出ようとする取材対象者をつかまえたりするのだ。 独自取材そっちのけで、いわば「突撃取材」に走り回るわけだ。これは今も昔も変わらない。 個人的には1990年代半ばを思い出す。日本経済新聞のチューリヒ支局長としてスイスに駐在していた。 国際機関が集中するスイスでは国際会議を取材し、要人にぶら下がる機会が多かった。他国の新聞記者と比べて自らの行動を観察できたため、当時の体験は今も鮮明に覚えている。 チューリヒには日経新聞と同様に、欧米系の有力経済紙が支局を置いていた。米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)と英フィナンシャル・タ
佐々木(ITジャーナリスト):菅直人政権が誕生したとき、新聞は各紙一面に政治部長のコラムが載っていたじゃないですか。軒並み、「菅政権は反小沢か、親小沢か」などといった話ばかり書いている。 そんな記事を読んでいると、財政破綻一歩手前で、また格差社会もここに極まれりみたいな社会状況になっている中で、そんなことが政治の一番の中心軸になっているので本当にいいのかっていう思いがしていました。 私だけではなく読んでいる側は、そんなことが関心事ではないですよ。 たとえば、僕が取材しているIT業界では、これまで議論されてきた「光の道」とか電子教科書、電子カルテなどといったIT政策が、菅首相に代わったことでどう変わるのかに興味があるわけですよ。 世の中全体としても、菅さんがどういう格差社会対策、景気浮揚対策をやってくれるのかというところに、みんな関心を持っています。実は「小沢か、反小沢か」というのは、あまり
佐々木俊尚(ITジャーナリスト)×長谷川幸洋(東京新聞論説委員)vol.1 「新聞記者はなぜ権力のポチになるのか」 長谷川:いま政治とメディア、ジャーナリズムの関係が大きく変わろうとしていると私は感じるんです。 一般の方が政治を見たり聞いたりするのは、やっはりメディアを通してです。ナマの永田町を見る機会はなかなか少ない。メディアを通して映像や、あるいは紙面で見ている。だから普通の国民にとってはメディアが描く姿が政治そのものなんです。 だけど、メディアが描いているものが政治の底流、本当の問題を十分に明らかにしているかといえば、まずそこに疑問があります。 その一方で、テレビとか新聞とか、あるいは雑誌とかいったこれまでのマスメディアとは別に、ツィッターなりブログなり、あるいは昨日の(新総理)記者会見も生中継したニコ動、そういったメディアも新しく出ていきて、メディア自身が拡がりました。そのことによ
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く