※下に現代語訳と解説があります。 武家義理物語 6巻. [1] - 国立国会図書館デジタルコレクション ※この記事では国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しております。 ※画像はクリックで拡大できます。 【原文】 十兵衛も縁《ゑん》の始めを祝《いわ》ひ、松竹《まつたけ》の臺《だい》の物を調《とゝの》へ、数々《かず/\》の盃事《さかづきごと》迄も、振《ふ》り分《わ》け髪《がミ》に見し姉娘《あねむすめ》と思ひしが、其《そ》の後《ゝち》寝間《ねま》の灯火《ともしび》近く、互《たが》ひに面《おもて》を見合ハせし時、十兵衛、昔の脇皃《わきがほ》に氣《き》を付けて、 「其《そ》の時《とき》ハ此の女に咎《とが》むる程《ほど》には有らぬ瘊子《ほくろ》一つ有りしが、大人しく成りて、其れも恥じて取り失せけるか」 と言はずして、耳《ミゝ》の辺《ほとり》を見しに、娘《むすめ》も早《はや》[最