※この記事では国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して使用しています。 国立国会図書館デジタルコレクション 国立国会図書館デジタルコレクション ※損傷個所は可能な限り修正しています。 【原文】 新吉原 聖天町《しやうでんまち》より土手へ上がり、日本堤《にほんづゝミ》を真つ直ぐに、吉原に入れば、早ヤ火点《ひとも》し頃、中之町《なかのてう》の茶屋、掛け行灯《あんどう》、一様に点《とも》し、夜店にハ弾き立つる菅掻《すがゞき》の三味線《さミせん》、人の心を浮かし、二人共夢中となり、見る物毎《ものごと》に珍しく、矢鱈《やたら》に其処《そこ》らを覗《のぞ》き回りて、 狂「御洒落《おしやらく》ハ 買ひたいけれど 銭《ぜに》惜しや 見たばつかしで 吉《よし》[止《よ》し]原にせう 延高 「コリヤ、はあ、田舎の御洒落さあとは、でかく違い申すハ。 あの文《ふミ》さあ書いて居めさる御洒落さあハ、幾