セクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)被害のなくならない日本社会の実相を浮き彫りにした前財務事務次官らのセクハラ発言問題。告発した女性被害者がインターネット上などで中傷を受ける「2次被害」も出ている。欧米諸国で抗議運動が広がりを見せる中、「セクハラなき世界」を日本で実現するにはどうしたらいいか。 声上げた被害者に支援必要 牟田和恵・大阪大大学院教授 男性上司から性的中傷を受け、退職に追い込まれた女性が1989年に日本で初めてセクハラの違法性を問う裁判を起こし、92年に勝訴した「福岡セクハラ訴訟」から30年近くがたつ。刑法に「セクハラ罪」をおくフランスや、連邦政府の独立機関が雇用上の性差別について強い調査権を持ち、直接企業を訴えることができる米国などには及ばないが、日本でも、企業にセクハラ防止の配慮を求めた改正男女雇用機会均等法の成立(97年)以降、それなりに対策は進んできた。 そんな中で
「傘かしげ」や「こぶし腰浮かせ」などの「江戸しぐさ」。「江戸時代の商人たちのマナーだった」などと喧伝されているが、歴史的証拠はなく、偽史である。だがそうした行為には価値があるとして、信じ続ける人もいる。累計47万部のベストセラー『応仁の乱』(中公新書)の著者・呉座勇一氏は、新著『陰謀の日本中世史』(角川新書)で、そんな陰謀論を徹底的に論破している。なぜ偽史はしぶとく生き残るのか。その理由を聞いた――。(前編、全2回)/聞き手・構成=稲泉 連 累計47万部のベストセラーの次は「陰謀論」 ――一昨年10月に出版された『応仁の乱』(中公新書)は累計47万部のベストセラーになりました。今回、次の作品である『陰謀の日本中世史』(角川新書)では、日本中世史における「陰謀論」がテーマです。どうしてこのテーマを選んだのでしょうか。 実はこの『陰謀の日本中世史』は、『応仁の乱』と並行する形で進めていたテーマ
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<要旨> 高度プロフェッショナル制度(高プロ)は「労働時間の規制を外す」ものと説明される。しかし、規制を外すとは、労働者が自由に自律的に働けることは意味しない。使用者を縛る規制がなくなるだけだ。 野党や労働団体、「過労死を考える家族の会」などが強く反対している(私も反対している)「高度プロフェッショナル制度」(高プロ)を含む働き方改革関連法案が、衆議院本会議で5月31日に可決された。今後の審議は、参議院に移る。 ●働き方法案、衆院を通過:朝日新聞デジタル (2018年6月1日) この高プロは、現在、「高収入の一部専門職を労働時間の規制から外す」ものだとニュースなどで報じられている。確かにそうなのだが、「労働時間規制から外す」とはどういうことなのか、誤解されている場合も多いのではないかと思う。 「労働時間の規制から外す」とは、使用者を規制の縛りから解放すること 言葉だけを頼りに考えると、「労
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