警視庁が摘発した事件の捜査の違法性が問われた国家賠償訴訟で、現職捜査官が「事件は捏造(ねつぞう)」と証言した。耳を疑う、異様な事態である。 生物兵器製造に転用可能な装置を無許可で輸出した外為法違反容疑などで警視庁公安部は令和2年、製造元企業の社長ら3人を逮捕した。 検察は起訴したが、1年4カ月後に「犯罪に当たるか疑義が生じた」と起訴を取り消した。社長らは国と東京都を提訴した。捜査した警察官4人が出廷し、2人が問題の証言をした。ともに警部補で、1人は今も公安部在籍だ。 警部補らは原告側から「事件はでっち上げと思うか」と問われ、「捏造ですね」と証言した。捜査中に問題点を指摘する内部通報があったが、「捜査にマイナスな証拠を取り上げない姿勢があった」などとも述べた。一方、指揮官の警視(当時は警部)は否定し、捜査は適正だったと語った。 争う都の側の警察官が捜査を批判した。原告側から証言を頼まれた立場