東京電力福島第1原発事故を巡り、東電の監査役は新旧経営陣に対する損害賠償訴訟を提起しないことを決め、提訴を促していた一部の株主側に通知した。通知は13日付で、「想定を大きく超える津波の影響で事故を防止できなかった。全ての取締役に、任務を怠った責任は認められない」などとしている。 これを受け、株主側は早ければ今月末にも新旧経営陣数十人を相手取り、約5兆5045億円を東電に賠償するよう求める株主代表訴訟を東京地裁に起こす。 監査役名の「理由通知書」によると、東電は国の地震調査研究推進本部の想定に基づき、原発周辺での津波の高さの試算などを実施してきたと説明。「絶えず信頼性のある情報を自主的に収集し、対策を講じてきた」として、賠償責任を問うべき注意義務違反はなかったと結論付けた。事故後の対応についても「速やかに対策本部を設置し、事態の収束に向け適切に実行してきた」とした。 株主側代理人の河合