ここで戦端を開き干戈を交えなければいつ電通と戦うのかという好機が到来しているのだから、われわれの怒りから生み出された業火のような焔がネットをなめ尽くしても不思議ではないはずだ。ところが、実はかなり反応が鈍く、怒りの焔は版図を広げていないし、むしろ火消しのほうが頑張っている。学生運動が流行らなくなった後にシラケという言葉が流行ったらしいが、まさにしらけている。よくよく考えると、電通が大きなダメージを負ったとしても、われわれの人生に影響はない。電通が退場すれば、それよりスケールが小さい悪が跋扈するだけであり、巨悪が小悪人に変わる程度であろうから、民衆が膏血を搾り取られることに変わりあるまいし、此世が天国になるわけではないのだ。目的や利益が中途半端なのである。ネットユーザーは普段はどうでもいいことに怒り狂っているのだから、その目的の無さは問題ないように思えるが、たぶん目的の無さの極みだからこそ暇