*「まなざし」の作用 光の空間として私へと現れているものの中で、まなざしとはつねに、光と透過不能性による何かの働きです。それは、さっきの私のちょっとした物語の中心にあったあの輝きです。そしてそれは、スクリーンであったり、スクリーンから溢れるきらめきとして光をあらわにしたりすることによって、つねに私を引きつけ魅了するものです。要するに、まなざしの点はいつも、宝石の輝きのような曖昧さを帯びているのです。 (ジャック・ラカン『精神分析の四基本概念』より) フランスの精神分析家ジャック・ラカンはセミネールⅪ『精神分析の四基本概念』(1964)において次のような若き日のエピソードを交えつつ「まなざし」について論じています。 20代の頃、都会のインテリ知識人という身分をもて余していたラカンは、過酷な自然の中に飛び込み危険な肉体労働に従事するという実践体験に興味を持ち、ある日、田舎の漁師一家と小さな船に
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