教育ジャーナリスト 野原 明 @ 国家戦略会議の議長である野田総理大臣の求めに応じて、平野文部科学大臣が先月、「社会の期待に応える教育改革の推進」と名付けた報告をまとめ、内容を公表しました。現在の日本が抱える課題を踏まえて、今後目指すべき教育改革についての文部科学省の考え方を明らかにしたものとされています。 国家戦略会議は、そのメンバーが経済閣僚や日本銀行総裁、経済団体の代表などで占められている経済運営の基本方針を論議するための内閣の機関で、教育の専門家は含まれていません。今度の文部科学大臣の報告は、4月9日に野田総理の要請を受けてから2ヵ月足らずの間に、役所のなかでこれまでの論議を取りまとめたもので、いわば文部科学省の経済界への回答といった性格をもっていると云えます。 かつての高度経済成長の時代には、企業は学生が大学で学んできたことに大して期待せず、「採用してから企業内教育で会社に役