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ブックマーク / newsweekjapan.jp (17)

  • 3カ月間だけ英雄だったマザーファッカー

    筆者の住むイーストベイと対岸のサンフランシスコを結ぶ、ACトランジットというバス路線がある。今年2月、その車内で「黒人のチンピラにからまれた白人の老人が逆にそのチンピラを素手で殴り倒して撃退する」映像がネットに上がった。 同じバスの乗客が現場を携帯電話でビデオに撮ってYouTubeに上げたのだが、すぐにツィッターやブログで広まり、視聴数はその日のうちに100万を超えた。いわゆるミーム(Meme)、またはヴァイラル・ビデオ(Viral Video、ウィルスのように伝播攪拌されるビデオ)になったわけだ。 白人の老人はZZトップのように長く白い髭と見上げるような長身が特徴で、いつしかエピック・ベアード・マン(Epic Beard Man、デカいヒゲ男)と名付けられた。ベアード・マンはビデオのなかで「わしは67歳だ!」と叫んでいた。 ネットではベアード・マンを「英雄だ」と讃える人々と、その反対派の

    3カ月間だけ英雄だったマザーファッカー
  • もう天下りたたきはやめよう

    政府は22日、国家公務員に関する「退職管理基方針」を閣議決定した。これは公務員の天下りを禁止する代わりに役所に残る高齢の職員を処遇する「専門スタッフ職」を新設し、独立行政法人には閣僚が許可すれば出向できることなどを定めたものだ。先の通常国会で国家公務員法改正案が廃案になったのに、ポストだけ確保する民主党政権に、野党からは批判が強い。 公務員制度改革は「天下り禁止」が争点になって混乱してきた。日公務員制度の原則は、GHQ(連合軍総司令部)の指令で1950年にできた職階法だが、これはアメリカ公務員制度を日に移植したもので、官僚の抵抗で一度も実施されないまま、2007年に廃止された。キャリア・ノンキャリアというのは法律のどこにも書いてない身分で、戦前からの高等官・判任官という制度を継承したものだ。公務員制度を定めた法律が50年以上も無視され、国家公務員の人事が明治以来の慣例で運用されて

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    kaionji
    kaionji 2010/06/25
  • テキサス流、教育の殺し方

    共和党支持者が多い私の出身地テキサス州は今、保守化が加速する「真っ赤な」州になっている。それを考えれば、州内の公立高校の社会科カリキュラムの見直しをめぐる騒動は、単なる政治的な動きと片付けても問題ないだろう。 選挙で選ばれた委員15名から成るテキサス州教育委員会は、過半数近くが超保守派。彼らは一丸となって、社会問題を中心にして考えられた世界観を推奨している。 同委員会が巻き起こしている論議はほかにもある。その1つが性教育を骨抜きにしていること。同州の保健体育の教科書からは「お子様向け」でない内容がすべて削除されている(体の自己診断コーナーに女性の胸の絵を掲載するのも駄目だ)。キリスト教の天地創造説を教えず、進化論だけを教えるのは適切ではないという主張も物議を醸している。 だがこうした論議は前座のようなもの。社会科カリキュラムの見直しこそ、ヘビー級の大一番だ。この戦いには、アメリカ中が軽蔑の

  • さよならアップル、こんにちはグーグル

    もううんざり アップルの市場独占で未来は暗くなる?(iPhoneとアプリ「エコファインダー」) Robert Galbraith-Reuters iPhoneのキャリアであるAT&Tのひどいサービスにほとほと嫌になっていた私は、ベライゾンの携帯電話HTCインクレディブル(OSはグーグルの「アンドロイド」を搭載)に乗り換えることを真剣に検討していた。 そして今日(5月20日)、新OS「アンドロイド2.2」が発表されるのを見て決断した。 バイバイ、アップル。iPhoneはもういい。当にサヨナラだ。 アップルがAT&Tの通信網と決別しようが、ベライゾンと手を組もうが関係ない。色々なブログに書かれているように、そうなるかもしれないし、ならないかもしれない。 これまでは、ベライゾンの通信網でiPhoneが使えればうれしいと思っていた。 でも、もう違う。 アンドロイド2.2(通称Froyo)はiPh

  • 日本を滅ぼすのは外人じゃない

    今週のコラムニスト:レジス・アルノー 現代社会において、移民ほど重要な問題はない。最近、私はそのことを改めて痛感した。 ある夕会で、フランス人の客人2人が日経済について激論を交わし始めた。在京14年のエコノミストは、日には若い世代が少ないため「日が将来生き残るには移民を受け入れるしかない」と主張した。すると、日で24年間銀行員として働いた経験のあるもう1人が、にべもなく言い返した。「だが、ヨーロッパの将来にとって最大の問題も移民だ」 グローバル化は、すべての文化的、人種的、地政学的な壁を取り払ってくれると思われた。200年前のフランス革命が掲げた夢、つまりすべての人間が共通のルールの下で暮らす時代がようやく到来した、と。 世界の国々は、異なる文化や人種の人々が互いに高め合いながら平和に暮らすカリフォルニア州のようになるだろう。そうなれば、「世界規模の移住傾向」にはばかることなく抵

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  • スポーツ選手の大量立候補に思う

    スポーツ選手が政治家に転身するのは、個別のケースとしては悪いことではないと思います。当選した後は、否が応でも政界の中であるいは世論の目にさらされて行くわけで、適性はすぐに露見してしまうでしょうし、そう考えたときに他の職業からの転身組と比較して、生き残る確率がそう低いわけでもないと思うからです。 確率が低いわけではないというのは、何と言ってもコミュニケーション能力の点で経験を踏んでいるからです。例えば、アメリカの大学入試では、スポーツの実績が非常に重視されますが、そこには「健康な精神は健康な肉体に」というイデオロギーも多少ありますし、過酷な練習に耐えて過密スケジュールを消化する自己コントロール能力が鍛えられるからという理由もあります。ですが、一番の理由はコミュニケーション能力でしょう。 勝負や記録という「ゴマカシのきかない」現実に直面し、プレッシャーのかけられた中で、現実と向かいながら事実確

    kaionji
    kaionji 2010/05/12
    日本人指導者が海外で活躍しているというのは興味深い
  • 「欠航しすぎ」欧州はアメリカを見習え

    募る不満 ミュンヘン国際空港で足止めされ、簡易ベッドで休む乗客たち(4月19日) Michael Dalder-Reuters きょう19日はマサチューセッツ州では「愛国者の日」なので、その祝日を祝ってフィナンシャルタイムズ紙の記事を紹介しよう。恐らく10年に1度あるかないかの出来事──EU(欧州連合)が、特定の問題に関してはアメリカの規制モデルのほうが優れていると認めたこと──について報じている。 特定の問題というのは、何とかいう名前の火山の噴火のため、ヨーロッパを発着する航空便の欠航が長引いていることだ。 ヨーロッパの当局者は19日、この1週間で何千便もの欠航を決める判断基準になったコンピューター・モデルの弱点を認めた。 欠航便の多くはアメリカの運航基準なら運航していたはずであり、将来はアメリカ基準の採用を検討すべきだと当局者らは言う。 こうした発言によって、火山噴火後の警戒体勢は過剰

  • 日本の良さが若者をダメにする

    今週のコラムニスト:レジス・アルノー 想像してみてほしい----あなたは、日で生まれ育った18歳のフランス人。東京・飯田橋にあるフランス人高校を卒業したばかりで、将来のことを真剣に考えている(フリをしている)。自分の生きる道は、どちらの国にあるのか。フランスに渡る? それとも日に残る? あなたが新聞を毎日読んでいるなら、答えは自明だろう。もちろんフランスだ。 フランスは「joie de vivre(人生を楽しむ)」国だ。国際的で、若々しくて、開放的。世界1の美女に世界1のファッションブランド、世界1の景色とワインがそろっている。 一方で、日は「未来が約束された国」の座から転げ落ちてしまった。高齢化と景気低迷がものすごいスピードで進み、世界での存在感はすっかり失われている。 日にとって、世界はどうでもいいらしい。政治もメディアも自己中心的で、NHKの7時のニュースは国内ニュースばかり

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  • 電波の開放が日米の「成長力」を決める

    FCC(米連邦通信委員会)は16日、オバマ政権の通信政策の基方針となる「全米ブロードバンド計画」を発表した。これは今後10年に、1億世帯に100Mbps級の通信サービスを提供することを目標とする野心的な計画である。アメリカ政府はインフラ整備計画の重点として、老朽化した電力網の更新と立ち後れたブロードバンドの整備をあげているが、今回の計画はその具体化である。 文は340ページもある膨大なものだが、エグゼクティブ・サマリーだけでも読む価値がある。注目されるのは、従来の通信会社のインフラを他社に利用させるUNE(アンバンドリング)規制が姿を消し、光ファイバーについての言及もほとんどないことだ。これは通信会社との法廷闘争でFCCが完敗し、UNE規制が不可能になったことを受けての方針転換だろう。 それに代わってブロードバンドの主役に位置づけられたのが、電波の開放である。特に10年以内に500MH

    電波の開放が日米の「成長力」を決める
  • 巨乳レストラン「フーターズ」の社長が皿洗いとして自社の店に潜入!

    「アンダーカバー・コップ」というと身分を隠して潜入捜査する警察官のことだが、米CBSテレビの『アンダーカバー・ボス』は、大企業のCEOが自社の末端の労働者として仕事の現場に潜入する番組。 たとえば全米のゴミ処理を独占するWM(ウェイスト・マネージメント)社のCEOがゴミ回収の仕事に就く。周囲は彼が社長だとは知らない。テレビカメラは撮り続けているが単なる取材だと言われている。だからゴミ回収車のドライバーが社のCEOを「このオッサン、いい歳して全然使い物にならないな!」と怒鳴りつけたりする。ボスは初めて社員の苦しみ、生活の厳しさを知り、待遇改善の必要を感じたりする。 先週の「アンダーカバー・ボス」はフーターズの社長コビー・ブルックスだった。フーターズは巨乳レストラン・チェーンだ。ウェイトレスはみな巨乳、それがピチピチのタンクトップとホットパンツでむちむちぷりんと客を迎える。女の子の乳と尻と太

    巨乳レストラン「フーターズ」の社長が皿洗いとして自社の店に潜入!
  • シーシェパード衝突の宣伝効果

    1月6日、環境保護団体シーシェパードが昨年10月に導入した小型高速船アディ・ギル号が、オーストラリア南方の南極海で日の調査捕鯨船団の監視船「第2昭南丸」と衝突した。高速船の乗員6人は救助されたが、船首部分が大破。シーシェパードによると、曳航の途中で沈没した。 シーシェパードは最近、アメリカの人気クイズ番組の元司会者からの寄付などで、ノルウェー製の捕鯨船やヘリコプターを購入。日の調査捕鯨船の進路を横切ったり、緑色のレーザー光線を照射するなど妨害行動をエスカレートさせている。団体の代表ポール・ワトソンはウェブサイトで、アディ・ギル号の損害額が200万ドルに上ると主張。「大きな痛手だが、クジラ1頭を失うほうがもっと重大だ。今回の件でわれわれの決意はさらに強まった」と述べている。 強い決意以上にシーシェパードには得るものがあるかもしれない。彼らの活動は、ケーブル局のアニマル・プラネットが放送す

  • 新聞という過去の遺物を救済するな

    古き良き… ニューヨーク定番のニューススタンドも時代錯誤になる? Spencer Platt/Getty Images まともな頭の持ち主なら、ニュース業界の未来が液晶画面ではなく、紙とインキにあるなどとは思わないだろう。ニュース業界がどこへ向かっているか、少なくとも10年前から誰もが知っている。 なのにどうして、アメリカでは新聞救済が議論されているのか。バラク・オバマ大統領はなぜ、検討するなどと言っているのか。議会はなぜ、病んで老いぼれた新聞を優遇税制措置などの施しで救おうと、公聴会を開いて「新聞再生法案」を検討しているのか。これはまるで、馬車や蒸気機関車や白黒テレビを救う法律を導入するようなものだ。ばかげている。無意味だ。うまくいくわけがない。 実はこうした過剰反応は、ニュース業界の救済とも雇用の保護とも関係ない。民主主義の救済とも無関係だ。新聞を愛する人々は、新聞と民主主義が切っても

    新聞という過去の遺物を救済するな
  • ソマリアの惨状を世界が見捨てた訳

    1992年当時のソマリアは最悪の状況だった。内戦で無政府状態が続き、武装集団が国連の援助物資を略奪。全土で180万人が飢えに苦しんでいた。 そこへ登場するのが、米軍主導の多国籍軍だ。インド洋には援助物資を積んだ米軍の輸送艦隊が現れ、空からは米軍の攻撃ヘリが物資を運ぶトラックを援護。武装勢力の動きを監視するために米軍の偵察機が首都モガディシオ上空を日夜旋回した。 それから17年。モガディシオは今も衛生状態の悪い難民キャンプに囲まれている。飢餓状態にある人は2倍以上に膨れ上がった。だがもはや、米軍も国連も救援に駆け付けてはくれない。 ソマリアの危機は現在、最悪のレベルにまで深刻化している。暫定政府の軍とイスラム過激派の戦闘が各地で起き、この半年だけで140万人が国内避難民となった。 それなのに、なぜ世界はソマリアに目を向けないのだろう。その答えは、国連と米軍の大規模な救援活動が頓挫した経緯にあ

  • 拳銃を持ったサッカー・マムの最期

    今、耳がよく聴こえない。 先週、ケンタッキーでバカでかい銃を撃ち過ぎたせいだ。 陸軍士官学校のあるウェストポイントにあるノブ・クリーク・ガン・レンジはアメリカでも数少ない、機関銃が撃てる射撃場。毎年4月と10月の2回、全米からガンマニアが集まってミニガン(バルカン砲)や火炎放射器を撃ちまくる。訪れた日は月曜日なのでマシンガンのレンタルをしていなかったので、ショットガンや44マグナム、M16ライフル、それに50口径オートマグを借りた。 それでパンプキンをバカバカ撃っていたら、隣のレンジに、身長160センチくらいのやせっぽちで色白でメガネの少年がやって来た。彼は背負ったバッグから大砲のようなライフルを出して、細いニンジンほどの弾丸を装填して撃った。 銃声というよりも落雷だった。衝撃波で、半径2メートルほどの地面から砂埃が舞い上がる。それは対物ライフルだった。航空機も撃ち落せる50口径の巨弾で、

    拳銃を持ったサッカー・マムの最期
  • アラブからみた「政権交代」

    30日の総選挙の結果は、中東諸国でも関心をもって取り上げられている。汎アラブ衛星放送の「ジャジーラ」は、投票日当日深夜、大勢が判明するとすぐ「野党、圧勝」の一報を流した。汎アラブ紙で「アラブのワシントン・ポスト」とも呼ばれるインテリ日刊紙の「ハヤート」は、9月1日付けのコラムで早速、民主党の分析を掲載している。エジプトの最大日刊紙の「アハラーム」を始め、中東の大手紙の大半が「自民党長期政権の終焉」を大きく取り上げた記事を流しているのに対して、「ハヤート」のコラムは、民主党の成り立ちや鳩山代表の出自にまで触れて、「実は政策的には自民党とたいした違いはない」とまで分析していて、なかなか詳しい。 だが、いずれのアラブ紙も共通して関心をもって触れているのが、鳩山代表のニューヨーク・タイムズの「論文」だ。「民主党は米国からの独立を目指している」――。実にアラブ世論のツボにはまった論点である。同じく汎

    アラブからみた「政権交代」
  • アメリカの医療保険制度は最高だ!

    病気になったら? カリフォルニア州ベニスで健康診断を受ける無保険のドナジ・クルスちゃん(3歳、09年6月) Lucy Nicholson-Reuters 申し訳ないが、私はアメリカの医療保険制度は現状のままでいいと思っている。私は医療保険に加入しているし、4700万人の無保険者のことなど知ったことじゃない。誰かがバラク・オバマ大統領と議会を止めるべきだ。医療改革法案を葬れ! 私は今のままのほうがトクなのだ。 「医療の公営化」に反対する手紙を大統領に出し、「私のメディケア(高齢者医療保険制度)に手を出すな」と書いた女性に私は賛成だ。メディケアが公的医療制度であることはともかく、そうこなくては! 私が連邦議員たちと同じ高水準の保障を得ていい道理などあるだろうか。法案に反対していた民主党の保守派議員などは「ブルー・ドッグ(青い犬)」と言われるだけあって顔色が悪く、たくさんの医療サービスを必要とす

  • 異議あり、『貧困大国アメリカ』

    堤未果さんという方の書いた『貧困大国アメリカ』(岩波新書)というは、アメリカ社会の病理を描いたとして評価が高いようです。確かに、貧困層や移民が募兵制のターゲットにされていたり、民間会社による傭兵ビジネスが横行しているといった点に言及している部分は、私が長年JMMなどで取り上げてきたテーマでもあり、改めて紹介することには意味があると思います。 ですが、書の多くの部分については、アメリカに長く住んでいる私には、どうしても違和感があるのです。一つには余りにも「最初に結論ありき」という書き方をしているために、事実関係の説明が不十分な点が多いことです。例えば冒頭にいきなり「サブプライムローンは貧困ビジネス」だという記述がありますが、まるでアメリカ住宅ローン貧困層をい物にしているといった印象を与えるのは事実に反すると思います。 80年代から90年代初頭にかけて「住宅ローン審査における人種差

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