茂庭照幸はギラギラとした目でインタビュールームに現れた。 10年ほど前、ワールドカップの前に話を聞いたときには、こんなに尖ってはいなかった。 まるで年齢が若くなったようだった。 激しい昇格争いをしている最中だからかもしれない。 もともとの「ヤンチャ」な部分もあるだろう。 だが、それ以上にこの10年の経験が、茂庭の感覚を研ぎ澄まさせたのではないだろうか。 湘南ベルマーレ、FC東京、セレッソ大阪、タイのバンコクグラスFC、再びセレッソ大阪。 これだけのプロ生活を重ねてなお、茂庭は野性味を帯びている。 どうやら日本代表での辛い体験が茂庭を変えたのではなさそうだった。 むしろ青いユニフォームを着るときの茂庭は幸運に恵まれ続けたと言えるだろう。 2003年、日本代表で初出場した際は手島和希の負傷による追加招集だった。 2005年、コンフェデレーションズカップには負傷した中澤佑二の代わりとして追加招集