ヒグマが出勤途中の男性の背後から駆け寄り、不意打ちで右前足を背中に振り下ろし、男性が地面にたたきつけられるようにうつぶせに倒れると、腕などに何度もかみつく―。昨年6月18日朝、札幌市東区の住宅街で起きたこの場面の動画を見て、衝撃を受けた人は多いのではないでしょうか。男性は最初の一撃で肋骨(ろっこつ)6本を折ったほか、全身を140針縫い、このヒグマに襲われた市民4人の中で最も大きなけがを負いました。今年1月に7カ月ぶりに職場復帰を果たした男性と3月下旬、現場を訪れ、市民を震撼(しんかん)させたクマ襲撃の一部始終を振り返ってもらいました。(内山岳志) ■「夜は同じ道を通れない」 「右腕をかまれている最中に目が合い、ヒグマに襲われていると認識した」。大けがをしたのは干物製造販売の「ふじと屋」(札幌市東区)に勤務する会社員安藤伸一郎さん(44)。当時はあまりにとっさのことで恐怖は感じなかったが、痛