近代建築にも欠かせないコンクリートだが、古代ローマの壮大な建造物は何度もの大地震に耐え2000年も建っている。世界最大級の無補強のドームを持つパンテオンや、コロッセオといった巨大な建造物が残る古代ローマの人々は非常に高い建築技術を持っていた。 一方、20世紀はじめに建てられた、例えば長崎・端島(軍艦島)の鉄筋コンクリート住宅は著しく劣化している。大きな違いだ。 古代ローマの建造物には「ローマン・コンクリート」という呼び名がついている。 それを可能にした謎の材料はコンクリートに混ぜた火山灰だと考えられてきた。研究者たちは長年、ローマン・コンクリートがそれほど丈夫なのはナポリ湾沿いのポッツオーリからの火山灰が原因だと考えていた。この種の火山灰は、建設に使うために広大なローマ帝国の各地に輸送され、当時の建築家や歴史家の説明の中でもコンクリートの重要な材料と紹介されていた。