8月19日午前9時、積丹町の美国漁港。田代輝(ひかる)さん(32)の操縦する小型船が、二つのかごいっぱいにキタムラサキウニを積んで戻って来た。港近くの自宅加工場で家族総出の殻むき作業が始まる。食欲をそそる黄色い身が取り出されていく。 ブルーカーボンを巡る今回の取材の主役は身を取った後の殻のほうだ。かつては町内で約100トンが一般廃棄物として焼却処分されていた。リンや窒素という栄養分を含むウニ殻は、一部は畑の肥料としても使われたが、田代さんら地元漁業者有志は「野菜に使えるならコンブにも」と有効活用を図った。乾燥させ、細かく砕いて、天然ゴムを混ぜ、形を整えて海に投入する。海の肥料として使う。