筆者は現在、医療・災害現場向けの方言AIを制作中である。このノートでは「なぜそんなことをしているのか」などを書く。 1. きっかけは熊本地震 2016年。熊本地震が発生した時、筆者は東京の研究所にいた。テレビは緊急番組に切り替わり、次々と熊本の現状が映し出される。変わり果てた熊本城、崩れた阿蘇の斜面、崩落した橋、ひっしゃげた集落、殺伐とした避難所。 熊本出身の筆者は、家族や友人と連絡をとるのに必死だった。 そんな時、研究界隈のメーリングリストに、方言支援を呼びかけるメールが届いた。その主旨は、県外から入る支援チームに方言が伝わらない可能性があるから、方言資料を現場に提供しようという主旨であった。東京にいながら熊本のためにできることは限られている。私は急いで災害義援金を入金したあと、その作業に加わった。 しかしほどなくして、私はその作業から距離を置くことになる。 2. 祭り 以下、失礼な発言
