【解題】 この鈴木研一郎君の『ドラゴンボール』戦闘シーンのスピード感に関わる分析は、僕のような『ドラゴンボール』門外漢にとっても滅法面白い。真面目にそういっているのだ。マニアは随喜の涙を流すことだろう。なぜか。 (1)主観的で視野狭窄的、けれどもそれでそのファン気質に個性が出来している。(2)ひたすらトリビアル――けれどもそれで「個別情景」が着実に浮かび上がり、読者は内容を知らなくとも作品を勢いと熱気に包まれながら、現実体験させられてしまう。(3)分析方法が科学的なのか非科学的なのか実は見当がつかず、どこかで「得体の知れなさ」に対する中間態の笑いが漏れ出す。(4)僕がつけたレポートタイトルにあるように、その「白眉」部分では鈴木君の記述の破壊性が猖獗し、結果、意外なことに「詩」も生まれている。(5)文章全体に『ドラゴンボール』がそうであるようなスピード感が接続されていて、それも書き手の愛の証