ウクライナ侵攻によって日本とロシアの経済関係も大きく揺さぶられている。制裁が食の世界に意外な影響をもたらすなど、複雑な貿易の実情から見えてきたものとは――。 上野・アメ横に異変 2022年12月下旬の東京・上野。年末年始の食材を求め多くの人でにぎわうアメ横商店街にある異変が起きていた。 鮮魚店「魚塚」の店頭にはゴツゴツしたトゲのある見慣れないカニが並ぶ。ロシア産のイバラガニだ。「カニの王様」と呼ばれるタラバガニと同じ科に属する大型の種で「甘みはタラバ以上」とも言われる。海外では「ゴールデンキングクラブ」と呼ばれており、店を運営する大橋磨州(ましゅう)社長(40)によると、海外市場ではタラバとほぼ同等の価値で取引される。しかし、日本では昔から「タラバのニセモノ」扱いされ、価格も低く、ロシア産も含めてほとんど流通していなかった。 それがアメ横に堂々と並ぶようになったのは、ウクライナ侵攻で米国が