東日本大震災で「実際に被災したわけではないのに、気持ちが沈む」と感じる人がいる。停電や放射性物質への不安が重なり、仕事の滞りも悩みの種だ。被災地以外でのこうした心の変化にどう向き合ったらよいか。産業保健に詳しい浜口伝博(はまぐち・つたひろ)医師に聞いた。 ―被災者でもないのに、落ち込んだり無力感を感じるのはなぜ。 「あれだけの映像を見たら、衝撃を感じるのは当たり前。被災地に知人がいなくても、日本人であれば身近に思い、つらく感じる」 ―涙が出るのは変では。 「涙を流して悲しみをそのまま表現することはすごくいいこと。できれば一人でなく誰かと一緒だとなおいい。泣いた後から、意欲が徐々に出てくる」 ―身体症状があるときは。 「目まい、動悸(どうき)、揺れを感じるなど、日常生活に困難があれば、内科などにかかり自律神経を調整する薬をもらうとよい。大きな衝撃から最初の1週間は興奮状態が続いて