累計発行部数1億4000万部を超える作家・森村誠一さんの原点は、70年前の8月14日深夜の熊谷空襲にある。生まれ育った街が一夜にして焼け野原、近くの川に浮かんでいた見知った顔の死体の山…当時、小学6年生だった彼が目にした光景はあまりにも衝撃的だった。一日たりとも忘れていないあの日の出来事――。 1945年8月14日午後11時頃、森村さんは、父親に枕を蹴飛ばされて目を覚ました。 「起きてみたら、昼間のような明るさ。「とうとう来た、逃げろ」という親父の怒声で、家族全員、外に飛び出しました」(森村さん、以下「」内同) 熊谷空襲――B29約80機が8000発ほどの爆弾を熊谷市一帯に落とした。中心街は3分の2が消失し、266人の命を奪ったといわれている。 「いったん、家の近くを流れる星川のほとりまで逃げました。そこで飼い猫のコゾを家に置いてきたのに気づいたんです。妹が『捜しに行く』と引き返そ
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