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ブックマーク / book.asahi.com (27)

  • 「プラトン―理想国の現在」書評 「正義なす理由」に迫る意義|好書好日

    プラトン―理想国の現在 [著]納富信留 「理想」という語は、明治の初頭にプラトンの「イデア」の訳として造語され、「観念」という訳語とともに爆発的に広まった。「理想」は今日では青臭い夢想か、「理想の家庭」「理想的な体重」といった豊かな社会の個人的願望の表現としてしか受けとめられないが、この語がたどった歴史をひもとけば、日近代史の一路はあぶり出せるはずだ。 納富が書で問うのは、プラトンの対話篇(へん)の頂とされる『ポリテイア』が『理想国』の表題で抄訳として出版され、続々と解説書が現れ、やがて戦後、それがアカデミズムの議論へと撤退してゆく過程とその意味である。 のちにマルクス主義哲学者となる古在由重と、戦後A級戦犯容疑者として公職追放されたのち総理大臣となった岸信介とが、ともに国家主義者・鹿子木員信のプラトン講義に大きな感銘を受けたと述懐していることは、この国における『ポリテイア』の受容のさ

    「プラトン―理想国の現在」書評 「正義なす理由」に迫る意義|好書好日
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    kamayan 2012/10/02
  • 湯浅誠「ヒーローを待っていても世界は変わらない」書評 面倒な民主主義と向き合う|好書好日

    ヒーローを待っていても世界は変わらない [著]湯浅誠 2008年末の年越し派遣村で村長として活躍した湯浅誠。彼は通算2年、内閣府参与を務め、現在は大阪を拠点に活動する。民間と行政を経験した湯浅が考える民主主義とは何か。橋下徹現象をどう見るか。 民主制は、どこまでも面倒くさい。多様な人々の異なる意見を闘わせつつ、互いに調整しなければならないからだ。しかし、特定のテーマに強い執着を持っている人ほど、「自分はわかっている」と思っているために、冷静に異なる意見を聞くことができない。相手をすぐに否定したがる。しかも粘り強く調整を行っていると、なかなか物事が決まらない上に、様々な妥協を強いられる。 すると、どうなるか。多くの人々がイライラし始め、「決めてくれ。ただし自分の思い通りに」と考えるようになっていく。ここに利害調整の拒否を伴うヒーロー待望論が出現する。 この現象は、政治システムへの不信と直結し

    湯浅誠「ヒーローを待っていても世界は変わらない」書評 面倒な民主主義と向き合う|好書好日
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    kamayan 2012/09/26
  • 「平等と効率の福祉革命」書評 豊富な裏付けから子育て支援を提言|好書好日

    平等と効率の福祉革命 新しい女性の役割 著者:イエスタ・エスピン=アンデルセン 出版社:岩波書店 ジャンル:社会・時事・政治・行政 平等と効率の福祉革命―新しい女性の役割 [著]イエスタ・エスピン=アンデルセン 福祉の議論は公共頼みになりがちだ。医療も高齢者も育児も失業も国がもっと金を出せ——。でも、家庭や企業も福祉をかなり提供している。そのバランスを見ないとだめだ、と看破したのが書の著者エスピン=アンデルセンだった。きたる高福祉社会に向けて、彼は女性をもっと働かせろと主張した。福祉サービス職を増やし(企業の事業機会)、女性を働かせ(家計収入増大)、税収を増やせ(公共の負担力増大)! この分析と提言は大きな影響を与えた。そして女性の労働進出は進んだ。でもまだ中途半端な水準だ。一方であらゆる社会では格差の固定化と拡大が進んでいる。なぜだろう? 書はこの問題に取り組む。そしてまたもや明快な

    「平等と効率の福祉革命」書評 豊富な裏付けから子育て支援を提言|好書好日
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    kamayan 2012/02/01
  • 書評・最新書評 : 「植民地責任」論―脱植民地化の比較史 [編]永原陽子 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    アフリカのダーバンで、画期的な会議が01年8〜9月に開催されている。それは「人種主義、人種差別、排外主義、および関連する不寛容に反対する世界会議」と称するもので、実に、奴隷制と奴隷貿易ならびに植民地主義を「人道に対する罪」と断定したのだった。 この会議に先立つ同年5月、フランスは、「アメリカ、カリブ、インド洋、ヨーロッパで、アフリカ住民、アメリカ先住民、マダガスカル住民、インド住民に対して15世紀来遂行された、一方で大西洋黒人奴隷貿易およびインド洋奴隷貿易と、他方で奴隷制を、人道に対する罪と認める」と法律において宣言していた。 「人道に対する罪」という概念はナチス裁判に際してつくられた法概念であるが、それが第2次世界大戦以後の時代だけでなく、大きく遡(さかのぼ)って15世紀以来の奴隷制・奴隷貿易や植民地主義を批判する概念として援用されたのである。 実は、90年代以来、奴隷貿易、奴隷制、植

    書評・最新書評 : 「植民地責任」論―脱植民地化の比較史 [編]永原陽子 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト
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    kamayan 2012/01/17
  • asahi.com(朝日新聞社):漫画家の実態、「白書」に 348人のアンケート結果、発刊 - 出版ニュース - BOOK

    漫画家の実態、「白書」に 348人のアンケート結果、発刊2011年2月24日著者:NPO法人NEWVERY内 トキワ荘プロジェクト  出版社:NEWVERY 価格:¥ 3,150 漫画家348人にアンケートした「漫画家白書」を、NPO法人NEWVERY「トキワ荘プロジェクト」がまとめた。漫画映画など多くの作品で原作になる「マザーコンテンツ」と位置づけ、プロへの道のりを探るのが目的。アマとの違いを数値化した。 アマの漫画家志望者(平均年齢25.44歳、116人)、プロの読み切り掲載作を持つ人(同31.61歳、38人)、連載経験のある人(同36.04歳、194人)に分け調査した。 漫画を描く際に重視する点はプロ、アマともキャラクターが1位、ストーリーが2位だったが、キャラクターを選んだ比率は連載作家41.97%、読み切り作家52.63%に対し、志望者は37.5%。漫画を描くために役立つ経験は

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    kamayan 2011/03/03
  • asahi.com(朝日新聞社):現実世界・闘病をSFに昇華 伊藤計劃さん、没後に人気 - ひと・流行・話題 - BOOK

    現実世界・闘病をSFに昇華 伊藤計劃さん、没後に人気2010年5月15日 昨年3月に死去したSF作家、伊藤計劃(けいかく)さん(享年34)の人気が高まっている。生前には発行1万5千部だったデビュー作『虐殺器官』(早川書房)が没後に文庫化され、計約10万部に達している。この春には、未刊行作などを集めた『伊藤計劃記録』(同)も出版された。現実の問題をSFに昇華させる際の独特の作風と、がんと闘った実人生とが混じり合い、読者をとらえている。 伊藤さんの作家生活は2年に満たなかった。 20代で右脚にがんが見つかり、やがて肺に転移した。2007年にデビューしたときには、すでに入退院を繰り返すような状態にあった。父の進一さん(67)は「抗がん剤などの治療を受けながら、ベッドで小説を書いていた。過酷な治療だったが、書くために少しでも長く生きようとしていた」と振り返る。 『虐殺器官』など6作が発表され、完成

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    kamayan 2010/06/11
  • asahi.com(朝日新聞社):ミクシィ、ツイッターで拡大 漫画の性描写規制案 - ひと・流行・話題 - BOOK

    ミクシィ、ツイッターで拡大 漫画の性描写規制案15日の反対集会。発言しているのはマンガ家の里中満智子さん=東京都庁 マンガなどに登場する18歳未満のキャラクターの性描写を規制する「東京都青少年健全育成条例」の改正案が、都議会で継続審議になる見通しとなった。直前まで成立濃厚とささやかれながら“一時停止”に転換させた要因として、「表現の自由が脅かされる」と訴えた文化関係者らの行動があった。表現規制をめぐる議論がマスメディアの報道に先立って広がった背景には、インターネットの存在もあった。 3月上旬まで、改正案はテレビや新聞では、ほとんど報道されていなかった。問題を広く知らせる“起爆剤”の一つになったと関係者の間で語られるのが、元マンガ編集者で明治大学准教授(マンガ文化論)の藤由香里さんによる発信だった。 藤さんは今月初め、マンガ研究者の知人を通じて、3月中に議会で改正案が可決される公算だと聞

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    kamayan 2010/03/26