記事:明石書店 ロテム・コーネル著、滝川義人訳『白から黄色へ――ヨーロッパ人の人種思想から見た「日本人」の発見』(明石書店) 書籍情報はこちら 「日本人」は「白い人」とみなされていた、と聞くと、あなたは驚くだろうか。 マルコ・ポーロの13世紀の旅行記である『東方見聞録』には、日本人は「肌が白く、文明的で、器量がよい」と記されていた。もっともポーロは中国で伝聞を聞いただけで、日本に行ったわけではない。しかしこの記述は欧州世界に影響を与え、16世紀にポルトガルやスペインの宣教師や商人が実際に日本に訪れるようになっても、日本人の肌を「白い」と形容した記述が多数記されるようになった。 コーネル氏によれば、アジア人の肌の形容として「黄色」が出現するのは17世紀からである。そして、日本人が劣位に位置づけられるようになったのは、18世紀になってからだった。 「人種」という概念の発明 だがコーネル氏のこの