2010年6月8日 どうやって地球に帰ろうか...(前編) 姿勢系 白川 健一(NEC 航空宇宙システム) 小惑星の観測を終えた「はやぶさ」に残された姿勢制御装置は、小さなホイールが一つと軌道変更用のイオンエンジンだけ。さて、どうやって地球に帰ろうか....。時々刻々とスピンレートが低下していくなかで、イオンエンジン・グループから提示されたアイデアは、なるべく高い圧力で中和器を噴射するというものでした。微弱ながらもトルクを加えることができる。話を聞いた時は、宝物を見つけた時のようにドキドキしながら、その能力を見積もったことを憶えています。 電力/熱/通信の制約を満たしつつ、地球帰還という目的を達成するための方法を、手元に残された機器の使い方を工夫することでひねり出す。少ない情報を丁寧に拾って、悪い側に予想がはずれた場合を想定して進路を決める。加速を継続しつつ、手探りで設計仕様の外側の実力を