2019年の東京大学入学式での社会学者・上野千鶴子の祝辞が、彼女の名を中国のフェミニストたちのあいだで広めるきっかけとなった。中国では依然として厳しい検閲が続くなか、その表面下では文学を通して徐々にフェミニズムの意識が高まりつつある。 政府の厳格な検閲と弾圧にもかかわらず、中国のフェミニズムが勢いを増している。その証拠を見つけるためには、本棚、ナイトテーブル、デジタルライブラリーをチェックするべし。そこには上野千鶴子の本が一冊くらいあるかもしれない。 上野は74歳の日本人フェミニストだ。中国での書籍販売追跡などをする「北京オープンブック」によれば、彼女の著書『上野先生、フェミニズムについてゼロから教えてください!』『家父長制と資本制』は、中国国内で100万部以上を売り上げたという。そのうちの20万部は、2022年1月と2月だけの数字だ。 中国では、東京大学名誉教授だった上野を、学術界以外で