御家再興、傾いた会社の再建など、いつの世も復活劇にはロマンがある。 高貴な生まれの主人公が家を追われるなどして身を落とすも、艱難(かんなん)辛苦を乗り越えて再び返り咲く貴種流離譚は、古くから日本神話やギリシャ神話など洋の東西を問わず存在する。 強者や運命への反抗や困難に立ち向かう姿そのものが、庶民の琴線に触れるシナリオなのかもしれない。ハッピーエンドは、恐らく必要ないのだろう。尼子家の再興に身命を賭した山中鹿之助や、九度山に流されるも、大坂の陣で活躍した真田幸村の逸話が残っている。 現代でも、“リベンジ”で有名な小説・ドラマが人気を博している。ビジネスの分野なら、企業の「V字回復」を扱った記事などがよく注目を集める。シナリオと煽り口上の相乗効果もあろう。 ガンダムの世界で言えば、ジオン・ダイクンの遺児にしてスペースノイドの自治独立を唱えたシャア・アズナブルはまさに代表的な「貴種」と言える。