『イノベーターズⅠ・Ⅱ 天才、ハッカー、ギークがおりなすデジタル革命史』AIはどこから来たのか? そしてどこへ行くのか? 著者のウォルター・アイザックソンは評伝の名手だ。これまでにもアインシュタイン、スティーブ・ジョブズ、レオナルド・ダ・ヴィンチといった歴史に名を残す天才たちの生涯を、独自の視点から描き出してきた。 しかし本書は、これまでの彼の作品とは一味違う。何といっても登場人物が220人を超えるというスケール感だ。チューリング、ENIACでのプログラミングを扱った6人の理系女性、アラン・ケイ、ショックレー半導体研究所を抜け出した8人の反逆者、ティム・バーナーズ・リーなど。多種多様な生きざまをつなぎ合わせて見えてくるのは、コンピューターがいかにして今日までの発展を遂げたのかというデジタル革命史である。 本書で最初に登場するのは、エイダと呼ばれる英国の伯爵夫人だ。19世紀に詩人の父と数学好