海上保安庁は15日、国際協力機構(JICA)とともに18日から実施する「海上犯罪取り締まり研修」に参加予定だった中国が、参加を急きょ取りやめたと発表した。中国側は理由を「渡航手続きが間に合わない」などとしているが、海保が9月に尖閣諸島近海で中国漁船の船長を逮捕した問題の余波とみられる。 海上保安庁によると、研修は海賊対策を中心に国際犯罪の取り締まりノウハウを共有する目的で2001年度に始まり、今回で10回目。今回は18日から11月12日までの予定で、中国公安部国境管理局の職員3人を含む9カ国の28人が来日し、北九州市や横浜市で講義や実習に参加する予定だった。ところが、12日になって中国側の窓口になっているJICA中国事務所から「研修員の来日をキャンセルする」とJICAに連絡があったという。
日本国債を買い進めてきた中国が一転して、償還期間1年以内の短期債を大量処分したことが波紋を呼んでいる。日本の財務省が公表した8月の国際収支状況(速報)によると、短期債が大半を占める中国の対日証券投資は売却・償還額(処分額)が購入額を2兆182億円上回った。昨年8月〜今年7月の買い越し額の累計2兆2383億円に匹敵する異例の水準だ。 8月の中国の対日証券投資の内訳をみると、短期債は2兆285億円の処分超、中長期債は103億円の買い越しだった。 中国の対日証券投資の買い越し額は4月以降、毎月約2千億〜約7千億円に達し、日本の市場関係者の間では「中国が外貨準備をドルから他の通貨に多様化する一環」との解釈が主流だった。8月に売却・償還額が購入額を大幅に上回ったのは、円高進行に伴い利益を確定させたのではないかとの見方が出ている。 中国では、外貨準備を運用する投資家としての「正常な調整」(新京報
河村たかし市長が主導する市議会解散の直接請求(リコール)に向けた署名集めが行われた名古屋市で、市長の支援団体「ネットワーク河村市長」は30日午後、署名数が目標としていた43万4159人を超えたと発表した。署名は10月4日に市選挙管理委員会に提出する。 署名集めは8月27日から今月27日まで行われ、現在は回収・集計の段階だ。リコールに必要な署名数は36万5795人分。ネットワークは選管による審査で無効となる署名があると見込んで、目標数を高めに設定していた。実際に成立するかどうかは、審査終了後の10月24日前後に見通しがたつとみられる。
青いTシャツ姿で署名を呼びかける倉田さん(左)のもとに、署名を待つ人たちの列ができた=25日、名古屋市緑区役所前、塩原写す 名古屋市で続いている市議会解散のリコール運動は、27日が署名集めの期限。河村たかし市長の支援団体は必要な約36万6千人分の確保に向けて追い込みをはかっている。あの手この手の協力呼びかけによるトラブルも。前代未聞の署名集めは最後の最後まで続いている。 市内16区の中で有権者が最も多い緑区の区役所前。倉田良一さん(70)は25日朝、署名簿を置く小机とパイプいすを並べていた。署名集めを担う「受任者」として登録された約4万5千人の1人だ。 支援団体「ネットワーク河村市長」はこの日、各区役所の近くで一斉に署名を呼びかける作戦を始めた。「いつもは2人でやっているけど、今日からは最終盤。ほかでも署名集めをするから1人でやらないと」。倉田さんがそう言って、午前9時から署名集めを
大阪地検特捜部が押収したフロッピーディスク(FD)のデータが改ざんされた疑いのある事件で、証拠隠滅容疑で逮捕された主任検事の前田恒彦容疑者(43)が同僚検事に「FDに時限爆弾を仕掛けた」と伝えていたことが朝日新聞の取材でわかった。データを書き換えた動機を示唆する発言とも受け取れるが、前田検事は逮捕後の調べに「誤って書き換えてしまった」と意図的な改ざんを否定している。 最高検によると、前田検事は昨年7月、厚生労働省元係長の上村(かみむら)勉被告(41)=公判中=が作成した偽の証明書の最終更新日時を「04年6月1日」から「04年6月8日」に改ざんしたとされる。朝日新聞の取材に対し、昨年7月のFD返却後にデータを見た上村被告の弁護人は、最終更新日時が「6月1日」と記された捜査報告書と異なることに驚き、単独犯を主張する上村被告にとって不利になる証拠ととらえて表に出すことをためらったという。 検
郵便割引制度を悪用した偽の証明書発行事件をめぐり、押収品のフロッピーディスク(FD)のデータを改ざんしたとして、最高検は21日夜、大阪地検特捜部でこの事件の主任検事を務めた前田恒彦容疑者(43)を、証拠隠滅の容疑で逮捕する方針を固めた。 朝日新聞が21日朝刊で疑惑を報じたことから、最高検が捜査に乗り出していた。 朝日新聞が入手した特捜部の捜査報告書などによると、FDは昨年5月、厚生労働省元局長の村木厚子氏(54)=一審・無罪判決=の元部下の上村(かみむら)勉被告(41)=虚偽有印公文書作成・同行使罪で公判中=の自宅から押収された。自称障害者団体が同制度の適用を受けるため、上村被告が2004年6月に発行したとされる偽の証明書の作成日時データなどが入っていた。 特捜部は証明書の文書の最終更新日時を「04年6月1日午前1時20分06秒」とする捜査報告書を作成。FDは押収の約2カ月後にあたる
米国が1954年3〜5月に中部太平洋のビキニ環礁で実施した一連の水爆実験で、放射性降下物「死の灰」が太平洋を越えて広がり、日本や米国などにも降下していたことが日本の研究者が入手した米公文書で裏付けられた。米国が世界122カ所で観測した降灰量が数値で記されていた。第五福竜丸以外にも被曝(ひばく)が及んだことを示す資料として分析している。 報告書は55年5月に米気象局を中心にまとめられ、全227ページ。写しが84年に機密解除された。広島市立大広島平和研究所の高橋博子講師らが分析を進めている。その一部は研究者の間で知られていたが、今年3月、米エネルギー省のホームページで全文が見つかった。 かつて米国が公開した、最初の水爆「ブラボー」の爆発から2日後までの降灰の範囲を示した地図では、ビキニ環礁から風下の東に向けて1万8千平方キロに限られていた。その後、降灰が世界規模に広がったことも指摘されてい
鹿児島県の尾辻義(のり)県議(66)=自民=が昨年、政務調査費を使って視察した東京や北海道などに複数の友人を同行させていたことが朝日新聞の取材で分かった。政調費支出は自分の旅費と活動費だが、はとバスツアーや歌舞伎鑑賞、札幌ドーム見学など、観光旅行とみられかねない内容だ。尾辻氏は「友人と一緒なら意見交換もできる」と説明するが、識者からは「認めれば家族でもいいことになり、歯止めがきかなくなる」との指摘もある。 尾辻氏が県議会に提出した報告書によると、友人同伴の県外視察は6月、9月に東京2泊3日を計2回、4月に北海道2泊3日を1回など。高校時代の同級生や後援会事務所のスタッフ1〜3人と一緒に出かけた。 尾辻氏は自身の旅費(宿泊費、航空運賃などを含むパック旅費)と活動費(1日5400円)の計約17万円(1回あたり5万〜6万円程度)を政調費として計上した。ほかの同行者はそれぞれ自費で支払った。視
「国連総会が近いので、しっかり打ち合わせをしたいと思います」。就任から一夜明けた前原誠司外相は18日朝、休日返上で外務省に姿を見せた。3連休明けに訪米し、米ニューヨークで開かれている国連総会に出席する前に、事務方と「猛勉強」する。 前原氏は午前10時すぎスーツ姿で外務省に到着し、大臣室に向かった。午後には首相官邸で菅直人首相と23日の日米首脳会談などの打ち合わせに臨む。19、20日も予定が詰まっており、岡田前外相が主導していた核軍縮・不拡散をめざす新グループの発足会合に向けた下準備も進める。 ニューヨークでは各国の首脳や外相らが集まり、二国間外交も展開される。17日に改造内閣が発足したばかりで綱渡りの日程だが、続々と登庁してきた外務省幹部らは「何とかうまく滑り出してほしい」と、休日返上の成果に期待を寄せていた。
パートや派遣として働く若い非正規労働者が交通事故で亡くなったり、障害を負ったりした場合、将来得られたはずの収入「逸失利益」は正社員より少なくするべきではないか――。こう提案した裁判官の論文が波紋を広げている。損害賠償額の算定に使われる逸失利益は「命の値段」とも呼ばれ、将来に可能性を秘めた若者についてはできる限り格差を設けないことが望ましいとされてきた。背景には、不況から抜け出せない日本の雇用情勢もあるようだ。 ◇ 論文をまとめたのは、交通事故にからむ民事訴訟を主に担当する名古屋地裁の徳永幸蔵裁判官(58)。田端理恵子裁判官(30)=現・名古屋家裁=と共同執筆し、1月発行の法律専門誌「法曹時報」に掲載された。 テーマは「逸失利益と過失相殺をめぐる諸問題」。若い非正規労働者が増える現状について「自分の都合の良い時間に働けるなどの理由で就業形態を選ぶ者が少なくない」「長期の職業キャ
名古屋市議会で提案理由を説明する河村市長。後ろは横井利明議長=9日午前11時5分、恵原弘太郎撮影 名古屋市議会の9月定例会が9日午前、開会した。河村たかし市長が議会解散の直接請求(リコール)に向けた署名活動を進めるなかで開かれる異例の議会。市長は議案の提案理由説明で「民意に沿った公約が実現されないのは民主主義の危機だ」と議会側を批判し、「市長主導のリコール運動は民主主義に反する」と主張している議会側との対決姿勢を前面に打ち出した。 提案理由説明で河村市長は、朝日新聞を含む各種の世論調査で市長自身の支持率が7割を超えていることや、昨春の市長選で過去最多の51万票余で当選したことを列挙。恒久的な市民税減税に慎重な姿勢を示している議会を「これほど明確な民意に基づく私の政策に賛同しない議会は、市民の縮図と言えるのか」と非難した。 議員報酬を年約800万円に半減させる市長の案に対して、議会が独
牛丼チェーン「すき家」を展開するゼンショー(東京)のアルバイト店員が残業代の支払いを求めていた裁判が、会社側が全面的に否を認めて決着した。だが、会社は店員と「雇用契約がない」との主張を変えておらず、店員が加入する労働組合との団体交渉には応じていない。 訴えていたのは、仙台市の店舗で働く福島淳子さん(43)ら3人。残業代の割り増し分約百万円の支払いを求めて東京地裁に提訴していた。当初は争う姿勢だった会社側は8月下旬に原告の主張を全面的に認めた。 福島さんは2000年にアルバイトとして入社し、調理、接客、事務などを担当していた。深夜や休日も働いていたにもかかわらず、支払われていないとして、05年10月から06年10月までの割り増し分などを請求した。 8日に会見した福島さんは「裁判の結果は大変うれしい。だが、会社は団交のテーブルにつかない。従業員が安心して働ける環境にはほど遠い」と話した。
職場での精神疾患を把握する方法について検討していた厚生労働省の「職場におけるメンタルヘルス対策検討会」は7日、健康診断とは別に、うつなどの兆候がないかなどをチェックするストレス検査の義務付けを提言する報告書を公表した。 7月の報告書案では、プライバシー保護に対する懸念があったため、健康診断でストレス検査を行うことは見送られた。今回の報告では、ストレス検査を健康診断と別の枠組みにし、プライバシーを守る方法も示すことで、すべての企業が取り組みやすいようにした。 報告書によると、企業は健康診断とは別に「よく眠れない」「ゆううつだ」などの項目を含むストレス検査を実施。医師は、面接が必要であると判断した場合、労働者本人だけに通知し、企業には知らせないようにする。 面接に応じるかどうかは本人が判断する。面接の結果、医師が休業や残業の制限、配置転換などが必要と判断した場合、本人の同意を得た上で、企
【動画】心境を語る村木厚子・厚労省元局長自宅でインタビューに応じる村木厚子・厚労省元局長=埼玉県内、山本裕之撮影 郵便割引制度をめぐる偽の証明書発行事件で起訴され、無罪を主張している厚生労働省元局長の村木厚子被告(54)が10日の大阪地裁での判決公判を前に、朝日新聞の単独取材に応じた。164日間の逮捕・勾留(こうりゅう)中に検事とのやり取りを記したノートなどを手にしながら、「(公判では)やれることをすべてやった。真実は強いと思っています」と今の心境を語った。 元局長は昨年6月、自称障害者団体が同制度を利用するための偽の証明書を発行するよう部下に指示したとして、虚偽有印公文書作成・同行使容疑で大阪地検特捜部に逮捕された。元局長と弘中惇一郎・主任弁護人から判決前の記事化について承諾を得た上で、2日に埼玉県内の元局長の自宅で取材。元局長は容疑者自身が取り調べ状況などを記す「被疑者ノート」など
多剤耐性の細菌アシネトバクターによる院内感染が起きた帝京大医学部付属病院(東京都板橋区)で患者の死亡情報が院内に十分伝わっていなかったことが4日、内部文書や職員の話でわかった。職員向けの注意喚起文書で死亡者に触れておらず「報道で知り驚いた」という職員もいる。厚生労働省や都は「危険性を認識した時点で重大性を伝えるべきだった」と情報共有のまずさを問題視している。 朝日新聞が入手した文書は「多剤耐性アシネトバクターに関する注意喚起」の題で感染制御部長から病院職員あてに今年5月13日と6月5日の2回、通知された。 病院や都によると、耐性菌との因果関係が否定できない最初の死亡者が出たのは昨年10月。その後、今年2月までに3人の疑い患者が死亡していることが確認されていた。遅くとも同病院の感染制御部は5月の連休明けには、菌に関連した死亡者が出ていることを把握していた。 5月の文書は「現在当院にも多
「ヒロ・ハワイアン」のパンフレット。ハワイでのセカンドライフをPRする文句が並ぶ 米ハワイで、ロングステイ先として不動産を取得した日本人がトラブルに巻き込まれるケースが相次いでいる。別荘の建築代金を支払ったのに建物が建たなかったり、部屋を貸した賃料が振り込まれなかったり――。海外での不動産取引は仲介業者に手続きを任せるケースが多いが、専門家は「より慎重に」と注意を促している。 「がんばってきた自分たちへのプレゼントに」「豊かなセカンドライフを求めて」――。ハワイ島で日本人相手に別荘用地の売買仲介や別荘の建築請負をしていた不動産会社「ヒロ・ハワイアン」(東京)のパンフレットには、定年を迎えた団塊世代向けのうたい文句が並ぶ。同社は約27億円の債務を抱え、昨年10月に破産手続きに入った。 同社の破産管財人によると、届け出があっただけで87人が、別荘の建築費を払ったのに建物が建たなかったり、
サンマの不漁や高値で、開催が心配された東京・目黒の「さんま祭り」。祭りは、JR目黒駅をはさみ、品川区側が5日、目黒区側が19日に開催されるが、間近に迫ったここに来て、ようやく提供できるめどが産地で立った。揚がらぬサンマに気をもんでいた産地も、祭りの地元も胸をなでおろしている。 さんま祭りは、落語「目黒のさんま」にちなみ、14年前に始まった。秋空の下、数千匹の炭火焼きや生サンマが、参加者に無料で振る舞われている。 品川区側は1999年から、岩手県宮古市のサンマを無償で受け取っていた。昨年は6千匹が提供された。ただ、今年届くのは「不漁」、そして1匹800円、千円という高値のニュースばかり。漁場の海水温が高く、魚群が日本列島に近づかないのが原因とみられるという。 品川区・目黒駅前商店街振興組合のさんま祭り実行委員長の中崎政和さん(61)は「受け取る私たちは待つだけ。サンマは必ず届くと宮古市
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