帰り道にその女と遭遇したのだが、色々やべー奴だった。 ママチャリに乗ったその女はいかもにもな魔女の衣装をし、カゴに入れたラジカセから大音量で「ルージュの伝言」を垂れ流しつつ大声で歌いながらこっちに近づいてきた。 (あ、これは関わっちゃいけないタイプの人間だ)と思ってスルーしようと思ったがこっちにどんどん近づいてくる。案の定話しかけられてしまった。 「あの、私魔女のキキです。こっちは黒猫のジジ。お邪魔させていただきます。この町に住まわせて頂きたいんです。きれいだし時計塔もステキだし…」 俺は「そう…がんばって」と返事をし逃げるように立ち去った。 女はやや寂しそうな顔を浮かべてママチャリにまたがると闇夜に消えていった。背中のリュックに入れた黒猫と会話しながら…。ハロウィンはさっさと廃れてほしいと思った。