文部科学省の教科書検定調査審議会は23日、平成32年度からの次期学習指導要領の全面実施に合わせた教科書の改善策を大筋了承した。現行の検定基準では、「南京事件の犠牲者数」のような通説がない歴史事象などについてバランスの取れた記述を求める項目の適用範囲が犠牲者数など個別の記述にとどまっているが、新基準では単元や題材などに拡大し、多面的・多角的な記述を求める。 教科書編集の指針となる検定基準では、小中学校の社会と高校の地理歴史・公民について26年1月、近現代で通説がない事項の記述にその旨を明示することや、政府見解を反映した記述などを求める項目が追加された。 これまで、「関東大震災の朝鮮人虐殺」の犠牲者数を「数千人」とした記述や、南京事件に伴う中国人犠牲者数を「20万人」と記述するなどした記述に検定意見が付けられている。戦後補償問題では「国家間賠償は解決済み」との政府の立場などが加えられた。 しか