参照される80年代日本カルチャー 近年、世界を席巻してきた未来へのアイロニーとノスタルジーの表象を見ていったとき、そこに日本の80年代ポップカルチャーの影響が少なからず確認される。大友克洋の『AKIRA』をはじめ、シンセポップの起点にもなったYMO、竹内まりやなどのシティポップ、『クリィーミーマミ』などのアニメ、そしてウォークマンやファミコンなど日本発のエンタテインメントテクノロジー等々。 そして当時の東京は、欧米とは異なる文脈で過剰に発展した未来的な都市として認識されていた。1982年公開の映画『ブレードランナー』ではヴァンゲリスのシンセサウンドを背景に、東京をイメージした未来都市が描かれた。 社会学者のエズラ・ヴォーゲルが1979年に上梓したベストセラー『ジャパン・アズ・ナンバーワン』では、80年代前半の日本は欧米にはない独自路線を突き進む最先端の先進国として評価されていた。 だが、世