今も昔も厚いベールに包まれ、闇ガネなどと言われることの多い機密費。そのなかで、奇跡的に残されていた外交機密費史料があった! 満州事変から日中戦争前夜までの領収書や、在中国公館と外務省本省のあいだの往復電報などは、何を語るのか。『機密費外交――なぜ日中戦争は避けられなかったのか』(講談社現代新書)の刊行を記念して、著者の井上寿一氏が機密費の実像に迫る。 人質救出のための領収書 シリアで武装勢力に拘束されていたフリーのジャーナリストの安田純平氏が解放され、10月25日に帰国した。なぜ解放されたのか。カタール政府が身代金を払ったからだ、日本政府はその身代金相当額をカタール政府に機密費で支払った、といった噂が絶えない。 官房機密費(内閣官房報償費)は使途の公表や領収書を提出する義務がない。外交機密費も同様である。身代金を機密費から支払ったとしても、それを客観的に証明することはむずかしい。真相は闇の
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